バケモンたちの宴 ページ9
北side
……あのリベロ、影山。相当対策して来とんな。
双子の速いテンポの速攻にも最初はミスしよったけど付いてくる。
簡単なミスもせんし、広いコートカバーリングで守備と攻撃に余裕を与える。
俺らも対策でなんぼか試合見よったけど、実力に全くむらがない。
それこそ、他のポジションやっても上手いんやろうと確信できるくらいには。
……前までやったら、もっと殴り合いになっとった気がする。
互いに攻撃力が味のチームやから、守備力に差をつけられたら一方的な試合もあり得る。
「あんな速攻、練習もせんとできるん……。才能ってやつか……同じポジションきっついわ」
「カゲヤマのレシーブもやばいやろあれ。俺も才能欲しいわ……」
そんなチームメイトの言葉を聞いて思い出す。
いつやったか、聞かれたことがあった。
『自分はレギュラーでは無く、後輩に天才が居て、辛いと思った事はありませんか』。
そもそも天才の定義がわからんけど、聞かれとる意味はわかった。
“侑達のような奴” について “理由なく最初から
けど。
「俺が毎日一から十やっとるところを侑みたいな連中は一から二十やっとんねん。
努力の格が、とかも言うけど、それを楽しんで努力やない努力をするんが天才なんやと思う。
「けどやっぱり、バケモンは居ると思います……」
「……せやな、俺もそう思う。日々バレーを愛するバケモンは居って、そういう奴と会えて、同じコートに立って、ネットを挟んで戦える。俺はバケモン達の宴に混ざれた人間や」
こんな人間、なんぼも居らん。
「ラッキーやなぁ」
俺も一回コートに入ったけど、攻撃線でもわかる"圧"。
俗に言う『努力の天才』。
侑からの情報もあったけど、俺の周りにはバレーを愛するバケモンがぎょうさんおるらしい。
俺はホンマに幸せな人間やと思う。
トッ____。
ピッ____ピー____!
最後のボールがコートに落ち、俺らの敗退を意味する音が鳴り響く。
悔しそうな顔が並ぶこの学校は、必ず来年も強なる。
『来年』を俺はここで待っとくから。
ミーティングのあと、酷い圧を放ちながら謝ってくるその姿に、冗談を言うも、さらにヘコましてしまったらしい。
「俺の仲間すごいやろって、もっと言いたかったわ」
569人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゐほ(プロフ) - ちぃさん» ありがとうございます!!ストイックな感じを出したかったので上手く伝わって嬉しいです……!応援に答えられるように頑張ります!! (3月1日 19時) (レス) id: 322cc096fc (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ(プロフ) - めっちゃ大好きですこの小説!ボールを綺麗に上げることだけじゃなくセッターが上げやすいレシーブにするっていう自分への厳しさ?みたいな感じがすごく好きです!!毎日更新楽しみにしています。応援してます! (3月1日 18時) (レス) @page17 id: 4eb3235a56 (このIDを非表示/違反報告)
ゐほ(プロフ) - はるさん» ホンマですか?!めっっちゃ嬉しくてモチベ激上がりしてます!!最近更新遅いので前作紹介の下の公開予定の三十分後が目安になってます💦 (2月26日 22時) (レス) id: 322cc096fc (このIDを非表示/違反報告)
はる - ガチで大好きです‼️毎回毎回最新話出てるかな?って確認してます! (2月26日 22時) (レス) @page15 id: fca3faa208 (このIDを非表示/違反報告)
ゐほ - ミミさん» 春高編、気合い入れていきますよ!! (12月28日 21時) (レス) @page2 id: 3242fac10c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ゐほ | 作成日時:2023年12月27日 10時