伝心 ページ20
国見side
俺、多分こいつらの考えてることが、今なら当てられる。
金田一は前からずっと二人で行動していたし、珍しいことでもないけど。
金田一は人を尊敬しやすい。しやすいが故に、失望しやすい。
もっとこうだったろ、こうしてくれただろ、と。
似てる。飛雄のほうの影山に、すごく。
ピー__!
第一セット先取。
「なんか余裕そうだな、白鳥沢。点差は縮まってるけど」
流れを完全に持っていかれてないのもあるけど、精神的にも安定しすぎてる。
やっぱり、そういうのはリベロが大きいんだろう。
後ろにAが控えている安心感を全面に出していた。
『工、打点。落ちたらすぐブロック捕まるぞ』
『おう』
テレビを挟んで聞こえてきた会話に耳を疑う。
別に、選手同士で声をかけるのも、八番がAの言うことに素直に頷くことも変じゃない。
ただ、Aが相手を呼び捨てで呼んだだけ。
それだけで、
……居心地は悪かったと思う。
北一で、ずっとリベロを張ってたAは、先輩がいるときの居心地を知っているから、余計に。
三年になるまでは、上手く行っていたはずだ。
でも、三年になってから、俺らは水と油のように分離した。
ムードメーカー的役割を担ってきたAは両方の話を聞いて、伝えて、俺らと影山の間でシャトルランを繰り返していた。
首の皮一枚、繋いでくれてたんだと思う。
俺らの選択が間違っていたとは思わない。
ただ、この関係を投げ出しても良いのはAだけだった。
それは確かだ。
飛雄が気に入らないことがAの努力を踏みにじっても良い理由にはならない。
そして、この何度繰り返したかもわからないこの思考こそ。
「置いていかれた」
証拠だ。
だから、応援はしない。
して良いほどの実力を持っていない。
誰かに負けるその瞬間を見届けて、こいつの限界を知って、嘲笑ってやろう。
俺のプレーでこいつの実力が量れるようになったら、俺らが、その舞台に行くと大口を叩いてやろう。
俺は知ってる。
次の試合はこいつが出る。絶対に。見逃せない。
……まぁ、オフじゃないし、観るんだろうけど。
「国見?」
「……何」
「いや、なんか……楽しそうだよな」
そりゃ、全国で試合して勝って、まだ余裕があるとなると、どんな素人でも楽しいだろ。
「……お前のことなんだけど」
どうやら、横の奴の気持ちがわかるのは俺だけじゃないらしい。
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ゐほ(プロフ) - ちぃさん» ありがとうございます!!ストイックな感じを出したかったので上手く伝わって嬉しいです……!応援に答えられるように頑張ります!! (3月1日 19時) (レス) id: 322cc096fc (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ(プロフ) - めっちゃ大好きですこの小説!ボールを綺麗に上げることだけじゃなくセッターが上げやすいレシーブにするっていう自分への厳しさ?みたいな感じがすごく好きです!!毎日更新楽しみにしています。応援してます! (3月1日 18時) (レス) @page17 id: 4eb3235a56 (このIDを非表示/違反報告)
ゐほ(プロフ) - はるさん» ホンマですか?!めっっちゃ嬉しくてモチベ激上がりしてます!!最近更新遅いので前作紹介の下の公開予定の三十分後が目安になってます💦 (2月26日 22時) (レス) id: 322cc096fc (このIDを非表示/違反報告)
はる - ガチで大好きです‼️毎回毎回最新話出てるかな?って確認してます! (2月26日 22時) (レス) @page15 id: fca3faa208 (このIDを非表示/違反報告)
ゐほ - ミミさん» 春高編、気合い入れていきますよ!! (12月28日 21時) (レス) @page2 id: 3242fac10c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゐほ | 作成日時:2023年12月27日 10時