影山(弟)は実はチート。No.2

天才の公平性 ページ19

金田一side

今まで散々最強とウシワカが謳われ、そこにAが入るとなると、とうとう真似もできなくなるんじゃないのか。
だって、どっちも天才型の奴らだろ。

確かに努力を人一倍してたのも知ってる。自分に厳しいのも知ってる。
でも、その努力も報われるから天才なんだ。
報われなくても努力できるから天才なんだろ。
簡単に報われるような努力なら、既にいくらでも真似してやってる。

でも、真似して悪いもんもあんだろ。
Aのフォームはきれいだが、フォームの作り方は独特だし、コースの読み方もよくゲスってることがある。
真似るに真似られない。
それが天才(こいつら)だ。

……そのはずだったのに。
負けてんじゃねぇよ。
先輩とか、んなもん関係ねぇ。
全部実力で捻じ伏せて、黙らせてきたんだろ。
立ってろよ。
コートで、チームメイトに囲まれてろよ。
応援なんかしてんじゃねぇ。
なんで、控えなんかに＿＿！
「＿＿っ！」
圧。圧。圧。
お前は、控えだろ……？

「……試合中みてぇ」

そんなことをつぶやいたのは、一体誰だっただろうか。
矢巾さんか、いや、国見か？もしかしたら俺かもしれない。
多分、これを見ていた全員が思っただろう。

『こちら、本日控えている影山くんですね。中学の頃から全国に名を轟かせ、今年は代表にも選ばれた大注目の選手です』
『なんというか……圧、でしょうか。すごいですね』
『悔しいんだと思いますよ、一年生とはいえ、今大会トップレベルの実力を持つ選手ですからね』

悔しい？そんな顔じゃねぇだろ。
正々堂々、先輩を木っ端微塵に叩き潰そうとしてる顔だろ。
ただでさえ多い武器を、無いもの全部かき集めて、もっと増やそうとしてる顔だろ。
そんで、それを監督も、十四番も、他の奴らもわかってる。
わかったうえで、野放しにしてんのかよ……！

「こいつら、全員気持ち悪い」
今度こそ国見がこぼしたであろう言葉に全力で頷く。

チームと言っても、ライバルだ。
特に白鳥沢はプロに入るやつも多い。
だから、この三年間が終われば一瞬で敵だ。
それなのに、なんでこんなに懸けられる？

『この白鳥沢の雰囲気は良いですね。仲が良いのもそうですが、異常な才能が入ってから引き締まったようにも見えます』
『個々の力を重要視していますが、その過程で尋常でないほどのチームワークが作られているんでしょうね』
『ここで白鳥沢セットポイント！鴎台相手に七点差』

ああ、お互いに背中を見るからフェアだと思うのか。

伝心→←応援はしていない

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