影山(弟)は実はチート。No.2

セカンドユニフォーム ページ1

スターティングメンバーを発表する。
練習前のミーティングで告げられたその言葉に胸が高鳴る。

今回から背番号やポジションも変わる可能性があるらしく、番号順に呼ばれることになった。
背番号って希望制じゃなかったか……？
それに試合直前にポジション変更は望ましくねぇ。
「一番、牛島若利、オポジット。四番、大平獅音、ウィングスパイカー。五番、天童覚、ミドルブロッカー。……九番、影山A……」

はい、と返事をして次々といつものメンバーが呼ばれる中、八番が飛ばされた。
工を超えるような奴なんて居たか……？
背番号が変わる可能性があるとは言われたが、ここまでは変更されていない。
不思議に思っていると、俺の名前を呼んだまま、しばらく秒針の音が響いた。
……なんで、俺の名前で止まってんだ？

「＿＿ウィングスパイカー」

俺の目を見てしっかりと告げられた言葉に返事を返す。
「はぃ……え」
はい、と返事をする準備をしていたせいで変な返事になった。
だが、誰でもそうなるだろう。
なんで俺のポジションが、ウィングスパイカーなんだよ……？
「影山A。取りに来い」
「……はい」
監督に促され、とりあえず俺(リベロ)の “セカンドユニフォーム” を受け取る。
「反論は後で聞いてやる」
「はい」
反論は聞いてくれるのか。ありがたい。

「十番、白布賢二郎、セッター。十二番、川西太一、ミドルブロッカー。十四番、山形隼人、リベロ。以上、レギュラー」
リベロに山形さんを入れたかったのか？
それなら俺を下げたら良かっただろ。
俺にないものを山形さんは持っている。そのくらい知ってんのに。
それとも、ここ最近、工の調子が悪かったのか？
昨日はいつも通りだったのに？そんなことはねぇだろ。

「次、ベンチメンバー。三番、瀬見英太、セッター」
こっちも普段通りのメンバーが呼ばれる。
「＿＿八番、五色工、ウィングスパイカー」
その言葉に凹むかと思っていたが、何かを覚悟した眼差しで堂々と返事を返していた。
なんでだよ……。
……もしや、こいつ何か知ってんのか？

「以上。残り三日、今まで以上に練習に励め」
はいっ！という体育会系の良い返事が響き渡り、練習前の柔軟が始まる。

「A、工。来い」
……やっぱり、工も関係してんのな。
できれば、今すぐにでもポジションをリベロに戻してもらいたい。
だが、そうすれば山形さんはどうなる？
俺のベンチ入りは免れねぇだろうな。……ウィングスパイカーよりはマシだが。

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