【イナGO】Survival (ページ44)

今日:1 hit、昨日:6 hit、合計:13,572 hit

４４survival ページ44

～車田サイド～

幼い時……まだ南沢たちと知り合ったばかりで、サッカーの実力もまだまだ初心者並みだった頃。

今は亡き祖父が、人間には二種類あるのだと言っていた。

『殺す者』と『生かす者』。

一体どういう意味なのか？それを訊ねても、爺ちゃんは少しも教えてくれなかった。

殺し合いが始まりこうしてセントエルダまで逃れて来てから、俺はそれについて改めて考えるようになった。

それでもやっぱり思い浮かばないので、フェイに訊いてみた。

フェイ「『殺す者』と『生かす者』？

……そういえば、アルノ博士もそんなことを言っていたっけ」

車田「意味深だと思わないか？」

フェイ「確かにね。アルノ博士によると、稲妻王国では古くから知られている言葉みたいだけど。

その意味は、一概では説明できないみたい。だから僕も教えてもらえなかった」

フェイも知らないのか……。

フェイ「ところで……どうしていきなり？

例の殺し合いのこと？」

俺が頷くと、フェイは心配そうな表情でうつむいた。円堂高官の言う「一週間以内」のタイムリミットまであと五日を切りそうだが、今のところ南沢たち四人の安否しかわかっていない。

フェイ「アルノ博士は、殺し合いに巻き込まれたくなければセントエルダにいればいいと言っていたよ。

ここは防犯により優れた技術を持っているからね。毒物や武器を持ってこの研究所に侵入するなんて不可能だ。確かに安全な場所と言える。

どうするの？」

そう、それは俺にとって究極の選択肢。

仲間を見捨てて自分だけ安全な場所に留まるか。

仲間を助けるために危険を冒して探しに行くか。

普段の俺なら迷いなく後者を選んだだろう。しかし我ながら情けないことに、今は殺意を持つ仲間への恐怖が勝っている状態なのだ。

信じていたのに……裏切られるのは御免だから。

ああ、どうすればいいんだ？

・