待つ ページ17
早めに着いて待ってようと思ったら公園のベンチに滉が座っているのが見えた。
『滉！』
滉はニコニコ笑顔で私を見て「座る？」と滉の隣を指差した。
滉は、制服じゃなくてジャージで「ゴメン。練習終わってすぐ来たから汗くさかったらゴメン！」と笑っていた。
『入試と練習お疲れ様！疲れてるのにごめんね。』
そう滉に伝えると目に入ってきたのは紙袋。
きれいにラッピングされたものが何個か入っていた。
「悠、何か話しあった？
悠から誘われるなんてめずらしいから(笑)」
「ん？」と首を傾げて優しい顔で私を見る。
何も言葉が出なくて、沈黙になる。
滉の紙袋に入ってるのチョコレートだよね。
それを見てから、急に胸が苦しくなった。
私の目線が紙袋にいってるのに気づいたのか滉は笑いながら私を見た。
「これ？
今日バレンタインだからチームのスタッフさんとかからもらった(笑)」
それでも沈黙な私に滉はせかすこともなく優しい声で言った。
「悠が話たくなったら話してよ。それまで待つから。」
勇気を出すって決めたのに、泣き虫で弱い私。
緊張と不安で涙が出そうになる。
ふと、滉と目があった瞬間涙が溢れてきた。
伝えなきゃ。後悔しないように。
カバンからハンカチを出そうとすると、
『悠、こっち見て』
滉はポッケから自分のハンカチを出して涙を拭いてくれた。
「今日はハンカチあるから(笑)」
「悠、話したくなかったら大丈夫だよ。話たくなった時はいつでも聞くから。でも寒いから風邪ひいたら大変だから帰るか。送るよ。」
立ちあがろうとする滉の手を無意識に引っ張っていた。
滉は驚いた表情をした後、私の手をぎゅっと握って再びベンチに座った。
「悠が話してくれるまで待つよ(笑)」
握られた手はそのまま離されることはなかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 67人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ありさ(プロフ) - すみれさんはじめまして。作品読ませて頂きました！すごくほっこりできて一気に世界観に引きこまれました☺︎よろしければ続きのパスワードを教えていただきたいです。 (4月13日 19時) (
レス) @page50 id: 95980270be (このIDを非表示/違反報告)
かおる(プロフ) - とても素敵な作品をありがとうございます！続きを読みたいのでメッセージ送らせていただきました。 (2月21日 21時) (レス) @page50 id: d4b646e599 (このIDを非表示/違反報告)
すみれ(プロフ) - まる 。さん» メッセージを送らせて頂きました。ご確認お願いします。 (2月20日 21時) (レス) id: e1f9dffb10 (このIDを非表示/違反報告)
まる 。(プロフ) - はじめまして！コメント失礼いたします。とても楽しく読ませていただき、ぜひとも続きを読みたいため、よろしければパスワードお伺いしたいです。 (2月20日 16時) (レス) id: 12f8865480 (このIDを非表示/違反報告)
すみれ(プロフ) - Unaさん» メッセージを送らせていただきました。ご確認お願いします。 (2月18日 16時) (レス) id: e1f9dffb10 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：すみれ | 作成日時：2023年2月10日 10時
