Story33 ページ34
俺のいつものような勝気な言葉にサンジは満足したかのようにタバコを加える口元を俺と同様歪ませた。絡んだ視線の中には敵視とか嫌悪とかそんなマイナスなものばかりじゃなくて、信頼みたいな、そんなプラスなものも多分に含まれていたことを今なら認めてやってもいい。
サンジと俺以外のクルーは黙ったまま俺たちの会話を見守っていた。ルフィを含め口を出さないということは異論はないということなのだろう。ナミも多分に神妙さがうかがえる表情ではあるものの俺の単独行動を認めていると見える。おそらく、認めるというよりは一度言ったらテコでも動かない俺の本質に諦めを持って、というところも多いのだろうが。
「失礼してもよろしいかね…?あなたがゾロさん、ですね?」
そのとき、傍で俺たちのことの運びを見ていた村長が口を開いた。その視線は穏やかに俺に向けられている。
「伝言です、ゾロさん」
伝言…?
昨日、俺たちがAに会うことを了承したときとおなじような穏やかな表情で彼は言葉を紡ぐ。
「彼女はここから東南にまっすぐ進んだ先にある無人島にいるとのことです」
老父の言葉に思わず目を見開く。Aをかくまっていたこの老父は、俺と彼女の接触をひどく嫌がるものだと思っていたが。
そして、それ以上に。
「…あいつが、それを俺に伝えろといったのか?」
「ええ…」
…Aが、そういったのか。
彼女は、麦わら海賊団を、俺を、拒絶した。
それなのに、自分の居場所を教えるなんて、彼女の意図が計りかねて思わず首をかしげる。
「ゾロがもし一人で私に会いに行く決意をしたのならその時は私の居場所をゾロに教えて欲しい、との言付けでございます」
「…行け、ゾロ」
老父の言葉真っ先に口を開いたのはルフィだった。彼の純粋無垢な瞳が俺を射抜く。なぜだろう、なぜこの男は普段あんなにバカで、無茶でしょうがないのに、こんなにも人を引き付けるのだろう。
「Aを連れて帰ってこいよ!」
ニシシシシ、といつもの笑顔がまた俺の背を押す。彼のかぶる麦わら帽子が太陽の光を浴びてキラリと輝く。
151人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ONEPIECE」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
陽羽(プロフ) - まるさん» まだまだガキンチョですよ笑 私も割としばしば自分気持ち悪いな…と思うことがあります。でも、まあ、それほどまでにONE PIECEは魅力的な作品ということです!!笑 学べるうちに学べ、と周りからも言われるので、頑張れるだけ頑張ろう…!と思っています汗 (2016年2月5日 15時) (レス) id: 2b94f0709a (このIDを非表示/違反報告)
まる(プロフ) - 受験生でしたか…。私はてっきり成人なさっているかと思っていました。文章から素敵な言葉を紡ぐ大人の方かと…。私はマルコマルコ騒いでいますがいいおばさんですよ。時々自分が痛くなります。学ぶことが可能なうちはたくさん学んで下さい。頑張って!! (2016年1月31日 17時) (携帯から) (レス) id: ab9f95c1b2 (このIDを非表示/違反報告)
陽羽(プロフ) - まるさん» マルコの声、私ももっと低いと思ってました!!…でも、あの高さもまた良し。マルコってだけで、オールオーケー。私はゾロかサンジで言えば…んー…恋をするならゾロだけど、彼氏にしたい!って思うのはサンジさんですかね…。グフフフフ( ̄ー ̄ ) (2015年12月22日 15時) (レス) id: 2b94f0709a (このIDを非表示/違反報告)
まる(プロフ) - 私はマルコが大好きですがゾロも好きです。声素敵ですよね。マルコの声は想像と違ってた。もっと低いかと思っていた。ゾロとサンジならゾロを選ぶなぁ。サンジは紳士的だけど女の子にメロリンだから。でもやっぱりマルコです。マルコが一番なのです! (2015年12月21日 16時) (携帯から) (レス) id: ab9f95c1b2 (このIDを非表示/違反報告)
陽羽(プロフ) - まるさん» こんにちは、まるさん!本当ですか!?駄弁るROOMは完全に自己満足でやっているコーナーなので、そう言っていただけて嬉しいです!これからもちまちま更新しますのでよろしくお願いします!二次元万歳*\(^o^)/* (2015年11月22日 15時) (レス) id: 2b94f0709a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:陽羽 | 作成日時:2015年9月27日 16時