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「うん、大丈夫、うん、しっかりいる」
『ほんと？！よかったあ、やま寒くない？』
「大丈夫だって、笑」
『はやく迎えに行くからね、
待っててよ？そこにいてよ？』
「もうわかりました！」
電話をかけていちばんに聞くことが俺の安否とは、俺の恋人は過保護だ。
…まあ、嬉しいけどね？
「あのせがたかいひと？」
きゅるきゅるおめめがこちらを向く。
「そうだよ」
「ふぅん、」
伏せた睫毛の長いこと。
将来は絶対美人確定だろ。
ねえ、
「けいくんはさ、どうしてここに来たの？」
「あめふってたから」
「じゃあ、なんで走ったの？」
「…」
やっぱり裕翔みたいには会話できなかった。
どこから、なんで、どうやって、
聞きたいことがたくさんあっても、
ただ問い詰めるだけじゃ心は開かれないのだ、
でもここでやめたら、
なんだか心の距離がさらに遠のく気がする。
ちょっとの人見知りは、
子供でも大人でもきっと変わらない。
「…いやあ、あんなに早いなんてすげえな、
俺追いつけなかったよ〜」
「…」
「学校とか、かけっこいちばんでしょ」
「…がっこうなんていかない」
「そっ、か」
大人びたけいくんとの間に、
雨風独特の生温さが流れる。
いや、これただの気まずさだな…
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作者名：日愛 | 作成日時：2022年7月18日 17時
