mine (ページ5)

今日:1 hit、昨日:2 hit、合計:5,969 hit

戯れページ5

.

ケロッとした顔でそんな事を言う
タイミングがすべてだとか
あまりにも簡単に片付ける彼らと、Aを
どうしても一緒にしたくない自分がいる

タイミング良く傍にいたのがAだった

じゃあAは運がよかったんだ

ふざけんな

そんなの納得もなにも
本来あるべき形じゃない

同等の愛を返せないのなら
最初から突き放せばいいのに。

こんなに否定したって
唯一といえる事実が
"Aの好きな人があいつだった”
ってことだけなのも辛いけど

恭平は…Aよりも先に、他の子から好きだと
言われたらどうしてたんだろう

好きな人のことになると、

思考回路はどうも相手が悪者みたいに

なってしまうように出来ている

.

それを学んだのは、
まだ背が小さくて、なのに声は高くて
いつも気持ちだけが背伸びしてた中学生の頃

周りはやたらと恋愛に敏感になり、異性との関係性に
何かしら意味や名前を付けたがるように変わった

「友達」と「彼女」では
いじられ方も、対応の差も歴然としていた

ただ、僕らは幼馴染みで、
それ以上でもそれ以下でもなくて
友達って言うには勿体無いくらいの
「家族みたいなもん」って、そういう交わし方
で生きていた

今よりずっと長い時間を共有していて
毎日の会話、物の貸し借り、2人並んで帰ったり、肩を組むとか体に触れることにも抵抗がなかった。それはお互いに。

「付き合ってるの？」と聞かれたら付き合ってないよ、と返す流れにも慣れ切っていた

まだ何も知らなかった13歳の冬、
よそ見をしていたのは僕の方だ

他の男子生徒がAのことを可愛いって
そういう目で見たり、その先を望んだり

僕が好きな子に向ける気持ちと同じように
ただ感情に素直だっただけなのに

彼女がそんな風に見られるのが嫌だった
気に食わない理由に蓋をしたまま、

冗談まじりに言った

「Aは誰にもやらない」ってあれ、

案外マジだったんだ

.