mine (ページ11)

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ep.0 ページ11

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過去の話

Aが心に飼ってる感情

恭平はなんにも知らない

だからこの関係でいてこの関係を保てているようなもの

___ _まもなく電車が参ります
黄色い線の内側までお下がりください

アナウンスが再び耳に届き出した

こうやって聞きたくないものをシャットアウトできるのだから、あんな会話もすっと流せばよかっただけど。

列から乱れて
一本遅らせた電車の中、
一通のメールを受け取った

よる私の顔、わかりますか?

まだ見慣れないそのアイコン
Aから紹介されたその子は、
最近トーク相手の一番上にくることが増えた

小さな事でも拾って広げてくれて、
会話のスピードは同じくらいで
よく波長が合う、なんて言うけど
彼女は誰に対してもこうだと言う

マメなんだろうなって思う

文字から伝わるその繊細さは、
まるで彼女の性格や考え方を知ってるかのような気にさせる

それでもやっぱり何も知らない僕は
"ごめん、わかんない"とだけ打って
駅を降りた

人の波に沿うように改札を抜ける
朝日が眩しくて目を顰めると
スマホからもう一度通知を知らせる音

よるAのこと目で追ってたら、いずれ分かると思う

どう返せばいいか戸惑って
結果、絞りきった答えは

うん

君との初めての会話はこんなだった

この頃は距離も会話も手探りで
それでも、

思い出と呼ぶには惜しいくらいに

君の紡ぐ言葉は
どうも優しくて、縋りたくなる程だった

大人になった僕たちは

また訪れる花芽吹く春の季節を

隣で迎えるなんて知らずに

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