桜の咲く頃に Ⅱ (ページ33)

今日:76 hit、昨日:48 hit、合計:70,794 hit

・ページ33

〈深澤side〉

飲み物を買って帰って来た2人の目は少し赤くなってて、あべちゃんがみんなに飲み物を配った

袋の中に余っている一本のジュースに目をやると

阿部「………これは……佐久間用……」

そう小さな声で言われた

深澤「あっ…うん…ありがとね…」

結局そのまま佐久間がすぐに目を覚ます可能性は低いと言われ各自明日の撮影のために帰ることになった

ｺﾞｿｯｺﾞｿｯ

深澤「やべっ…佐久間ん家に携帯置いてきたわ……」

佐久間のことで頭がいっぱいになって持っていた携帯を置いて来てしまった

岩本「俺が送ろうか？」

深澤「いや、でも遅くなっちゃうし…翔太も乗っていくんだろ…？」

渡辺「いいよ、俺タクシー捕まえて帰るし…こんな時間にスマホない状態でなんかあったらやだしひかると行きなよ」

岩本「…ってことだから、行こ」

深澤「…んじゃあお言葉に甘えて…ありがとう」

そう言って他のメンバーと別れて照の車に乗り込んだ

佐久間の家までの道のりは行きの何倍も短く感じた

佐久間の家に着くとさっきの出来事がフラッシュバックしてきて足がすくんでうまく進めなくなってしまった

岩本「……ふっか？」
　

深澤「……ｯごめん」

岩本「……いや別にいいけど……俺がとってこようか？」

深澤「……いや大丈夫……行こ」

そうは言ったけどやっぱり手も足も震えてて冷たかった

ｷﾞｭｯ

岩本「大丈夫……今は隣に俺いるから」

少しずつ照の手の温かさが伝わってくる

深澤「ありがと……」

そうして部屋の電気をつけてスマホを探した

ふと部屋を見回した時ベットの上に何かが置かれているのが見えた

あんなところにおいたかなぁ……と思いつつ近づいていくとそれはスマホではなく封筒だった

封筒には佐久間の字で『スノーマンへ』と書かれている

おそらくそれは佐久間が薬を飲む前にスノーマンに書き遺した手紙だった

開けるかそのままにするか悩んでいると照の呼ぶ声が聞こえた

岩本「ふっかぁ〜？スマホ見つけたよ〜どこいんの〜？」

深澤「ごめん今行く〜」

そう言って佐久間からの手紙をポケットに入れて照の元に戻った

岩本「ん、これっしょ？ふっかのスマホ」

深澤「そうそう、ごめん助かった」

結局その日は照にも手紙のことは聞けなくて眠りについた