*リドル・ローズハートの独白 ページ9
『監督生さんが突然元の世界へ帰ってしまいました。』
頭を殴られたような衝撃がボクの中に走った。
_学園長、今、何とお言いだい?
監督生さんつまり…Aが居なくなったとでも?
「笑えない冗談はよしてください!学園長!」
「ローズハート君、これは事実です。」
学園長の言葉はボクの希望を打ち砕いた。
そんな、そんな…ボクはまだ彼女に、感謝の気持ちすら伝えられていないというのに。
Aが居なければ、ボクはまだ<暴君>のままだったかもしれないというのに…。
身体が震える。
大切なものはこうも簡単に零れ落ちていくことを初めて知った。
昨日までは普通に笑っていたではないか。
ボクに手を振ってくれたじゃないか。
明日お茶会の約束をしていたじゃないか。
「あぁ…あぁぁぁ!」
ボクはついに膝から崩れ落ちた。
トレイとケイトが両側にしゃがみ込んでボクの肩を支えてくれているがそんなことどうでも良かった。
彼らには申し訳ないが、今は彼女の支えが無いと立ち上がれそうに無かった。
どうして黙って出て行ってしまったんだい?
どうしてありがとうの一言すら言わせて貰えないんだい?
ボクはキミから沢山の贈り物を貰ったというのに。
勇気、愛情、自由、選択肢…
温もり、言葉、解放…
あぁ、挙げるとキリが無いじゃないか。
ボクは貰ってばっかりじゃないか。
異世界からその身一つでやって来て、何も持たないキミからこんなにも多くのものを貰ったというのに、ボクはそんなキミに何をしてやれていたと言うんだい?
強いて言うならば、放課後に勉強を教えていた事くらいではないか。
「まだっ…まだっ側にいて欲しかった。」
涙が溢れて止まらない。
心臓が脈打って止まらない。
なのに、寒くて体が凍えて堪らない。
A、A、A!!!
『リドル先輩はお母様のお人形では無いです。意志を持って当然です。100%言うことを聞けなくて当然です。だって、だってリドル先輩は1人の人間なんですから。』
Aがくれた言葉が頭に響く。
ボクを1人の人間にしてくれたのは…Aだったね。
「ボクに黙っていなくなってしまうなんて…重罪だ。首を、首をはねてしまうよ。」
お願いだから、もう一度その笑顔を見せておくれ。
ボクがはねる首をおくれ。
_同じ世界にいないのならば…ボクの魔法も届かないじゃないか。
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檸檬 - あ、あのぉ。ぞ、続編ってどうしたら見れますかねぇ.....?芋けんぴ様さえよければパスワードを教えてもらいたいのですが... (11月4日 21時) (レス) @page42 id: b3274f6834 (このIDを非表示/違反報告)
かな(プロフ) - 初めまして!とても楽しく読ませて頂きました、素敵な作品をありがとうございます! 続編?も読みたいのですが…公開はする予定はありますか?とても気になります… (2023年2月2日 8時) (レス) @page42 id: a32747b1ee (このIDを非表示/違反報告)
芋けんぴ(プロフ) - 美南さん» 美南様、コメントおよびご指摘ありがとうございます。文字数の都合上、「この世の終わり」と表現させていただきました!!そうですね…皆様の涙腺を破壊してしまったみたいで…反省してます…。ティッシュ贈呈でどうでしょう?笑 (2021年8月11日 9時) (レス) id: e6e71631e0 (このIDを非表示/違反報告)
芋けんぴ(プロフ) - まあゆひやさん» まあゆひや様、コメントありがとうございます!お返事遅くなってしまい申し訳ありませんでした…。独白、読んでくださりありがとうございました! (2021年8月11日 9時) (レス) id: e6e71631e0 (このIDを非表示/違反報告)
芋けんぴ(プロフ) - R−アル−さん» のりまーす!!のりますよ?? (2021年8月11日 9時) (レス) id: e6e71631e0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:芋けんぴ | 作成日時:2021年3月3日 0時