*リリア・ヴァンルージュの独白 ページ26
「そうか。お主は帰ってしまったか。」
いつの世も、いくつ歳を重ねようとも別れは寂しいものじゃな。
Aが帰ってしまったと聞いた瞬間、胸にぽっかり穴が開いたぞ。
あまり年寄りを困らせてくれるな。
いや、わしはまだまだ現役じゃが。
それでも寂しいのだ。
それでも悲しいのだ。
人間との別れなんて、嫌というほど味わったんじゃけどなぁ。
やはり慣れないものだ。
それに、お主はマレウスとも仲良くしてくれたしな。
わしの中でも大きい存在であったんだよ。
『リリア先輩〜。』
『ん、なんじゃ?』
学内で見かけるたびに駆け寄ってくるお主は可愛らしかったな。
ディアソムニアは孤立することが多いから、そうやって歩み寄ってくれることがわしも嬉しくて、ついつい甘やかしてしまった。
セベクとも仲良くしていたのもよく見かけたしな。
『やっぱ、リリア先輩可愛らしいっすね〜。』
わしに駆け寄ると決まりごとのようにわしの顔を覗き込んでお主が言う。
『そうじゃろう?わしはとびっきりに可愛いんじゃ!』
それがおかしくて仕方が無かった。
お主も中々に可愛らしいからの。
特にその笑顔が大好きじゃった。
まぁ、わしには負けるが!
わしの可愛さは天下一だからのぉ。
笑顔もとびっきりじゃ!
…頼む。
どうせ帰ってしまうなら、こんなに爪痕を残してくれるな。
こんなに愛おしいと感じさせてくれるな。
何度経験しても寂しいに決まっておろう。
わしらより何倍も寿命が短いお主に、入れ込んだわしも悪かったが…
こうも突然に帰ってくれるな。
せめて最後まで…一緒にいてくれ。
わしは黙って拳を握り締める。
こんな喪失感は久しぶりじゃ。
後ろからはシルバーとセベクの鼻をすする音が聞こえてくる。
きっと泣いておるのだろう。
外の大雨と雷は…マレウスじゃろうなぁ。
仕方が無いのぉ。
「セベク、シルバー。寂しいのぉ。覚えておけよ。これが<別れ>と言う奴じゃ。」
わしは2人を抱き寄せて諭すように言う。
まったく。デカくなりおって。背伸びが大変じゃ。
どうしてこうも寂しいのかのぉ。
しかし、困ったのぉ。
「ふふっ…ははは!!」
「マレウス様?」
「若様!!」
「マレウス?」
どうやら、わしらの王様は諦めていないらしい。
「絶対に見つけてやる。」
ふふ。面白そうじゃ。
「異世界からAを連れ去るのは骨が折れそうじゃ。」
しかしまぁ、もう一度あの笑顔が見られるというなら…安いもんじゃな!
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檸檬 - あ、あのぉ。ぞ、続編ってどうしたら見れますかねぇ.....?芋けんぴ様さえよければパスワードを教えてもらいたいのですが... (11月4日 21時) (レス) @page42 id: b3274f6834 (このIDを非表示/違反報告)
かな(プロフ) - 初めまして!とても楽しく読ませて頂きました、素敵な作品をありがとうございます! 続編?も読みたいのですが…公開はする予定はありますか?とても気になります… (2023年2月2日 8時) (レス) @page42 id: a32747b1ee (このIDを非表示/違反報告)
芋けんぴ(プロフ) - 美南さん» 美南様、コメントおよびご指摘ありがとうございます。文字数の都合上、「この世の終わり」と表現させていただきました!!そうですね…皆様の涙腺を破壊してしまったみたいで…反省してます…。ティッシュ贈呈でどうでしょう?笑 (2021年8月11日 9時) (レス) id: e6e71631e0 (このIDを非表示/違反報告)
芋けんぴ(プロフ) - まあゆひやさん» まあゆひや様、コメントありがとうございます!お返事遅くなってしまい申し訳ありませんでした…。独白、読んでくださりありがとうございました! (2021年8月11日 9時) (レス) id: e6e71631e0 (このIDを非表示/違反報告)
芋けんぴ(プロフ) - R−アル−さん» のりまーす!!のりますよ?? (2021年8月11日 9時) (レス) id: e6e71631e0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:芋けんぴ | 作成日時:2021年3月3日 0時