タルトデート(4) ページ24
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「…!?一日でウィッグって作れるものなの…?」
なずな「オレも一日でできたって聞いてびっくりしたよ。今度他のメンバーの分も作ってもらおうかな」
『お待たせしました!白桃のタルトとリンゴのタルトです!お済みの頃にお飲み物をお持ちいたします。』
なずな「お、来たな!」
たわいもない話(私からしたらアイドルの日常なんてたわいもない話ではないけれど)をしているうちにタルトが運ばれてきた。
「うわぁ!おいしそう!」
薄くスライスされ、きれいに重ねられた白桃はもはや芸術品のようで、写真で見ていたものよりはるかにおいしそう。
これは一切れでも2000円を払う価値があるなと見ただけでもわかるくらい。
リンゴの方も白桃のに負けず劣らずおいしそう。
「「いただきます」」
少し震える手でフォークを持ち、タルトを一口分切り分ける。
「…!!!」
なずな「…!!!」
「「おいしい!!!」」
もう自分の語彙力をカンストする勢いで美味しい。
帰郷した時にみみちゃんママが作ってくれた白桃タルトもおいしかったけど、ここのタルトはそれとは別の方向性のおいしさ。
「こんなの…食べたことない…!」
なずな「ふふ、喜んでもらえてよかった!」
おそらく白桃の下にあるのはクリームチーズだと思うんだけど、それと白桃がものすごくマッチしていて、口の中で一瞬にして溶けてしまった。
たしかみみちゃんママが作る白桃タルトは生クリームとヨーグルトで作っていたような。
「仁兎くん、連れてきてくれてありがとう!」
行く前の不安はどこへやら。
今はもう頭の中は目の前の白桃のタルトの事でいっぱい。
我ながらゲンキンな奴だなとは思うけれど美味しいモノは美味しい。
なずな「よかったらオレのもちょっと食べるか?」
少し羨ましく思っていたのがバレてしまったのだろうか、仁兎くんがお皿をこちらへ差し向けてくる。
確かにおいしそうだなとは思ったけど…
「えっ!いいよ!申し訳ないし…」
仁兎くんが食べたくて頼んだものなのに…
なずな「ほら、あーんしてあげるから、遠慮しないで食べてな?」
今度はフォークにすくった状態で口元までもってくる仁兎くん。
…それはずるいって…。
ええい。どうにでもなれっ!
__________ぱく、
なずな「どう?おいしい?」
後からじわじわと羞恥心が押し寄せてきてうなずくことしかできない。
今絶対やばい顔してるって…
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作者名:小野屋 | 作成日時:2020年5月28日 17時