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非日常の日常(1) ページ1

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__________びゅぉぉぉぉぉおおお…



突然吹いた風に顔をしかめる。


もう桜なんてとっくに散っている。


まばらに芽を開き始めた桜をじっと見上げる。


「入学式は桜の季節だなんて嘘じゃんね」


そんな独り言も空へと虚しく消えていく。


私、大藤(おおふじ)Aは今日から晴れて大学生。


とは言っても地方にいる両親は来れなかったし、この春に上京してきた私には友達もいない。


__________ピロン♪


空気が読めないスマホが無遠慮に通知を知らせる。


『A〜!さみしくなったら帰ってくるんよ!入学おめでとう!』


地元で短期専門学校に進んだ友達からの激励だった。


無遠慮とか言ってごめんね、


「友達、できるかな、」


上京する前は東京デビューするんだって意気込んで楽しみにしてたのにもうホームシックになっちゃったのかしら。


適当に返信を返してポッケにスマホをしまう。


両親が地元で一番いい仕立て屋で買ってくれたスーツがまぶしい。


固くて黒光りするバッグを背負いなおして入学式の会場へと身を滑らせた。





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作者名:小野屋 | 作成日時:2020年5月28日 17時

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