6.愛しい人 ~YC~ ページ6
5人で歌ってたこの曲…。
日本でのコンサートが決まってから、3人で昔の曲を歌おうって話になって、どれを歌うかしばらくみんなで悩んだ。
「終わりじゃなくて始まりだっから、やっぱりこれじゃない?」
ジェジュンヒョンの一言で決まった。
ー Begin ー
ほんと久しぶりに歌うから、色んな想いがこみ上げてきて感情が高ぶる。
ピアノだって久しぶりで、たまに間違えたりしたけど、Aが真剣に涙を流しながらずっと聴いててくれたから、最後まで歌うことができた。
「泣き過ぎ(笑)」
あまりにも静かにポロポロと流れる涙を指で拭って、Aの頭をポンポンした。
「今の曲は昔5人で歌ってた曲で、ちょっと特別な思いがあってさ…」
何も言わずに頷くA。
「Aに聴いて欲しかったんだ」
そう言うと、
「すごくいい曲だね」
何も知らないのか、それとも知っているのか…。
それでもその一言に救われた。
Aが優しく頭を撫でて優しく抱きしめてくれたから、泣けてしまった。
「…あったか…」
「寒い時はあたしが暖めてあげる」
そう言って背中を撫でてくれた。
「…うん…」
そして俺は過去にあった事をAに話した…。
何も言わずにちゃんと聞いてくれて、そして欲しい言葉を分かってくれてる。
人それぞれの捉え方や考え方が違うように、俺たちの事もそれぞれの意見が飛び交う中、信じられるのはメンバーお互いだけだった。
誰がどう思ったっていい。
自分の大切な人さえ、理解しててくれれば…。
ずっとそう強がって思ってきたけど、Aに受け止めて貰えたことで、自分の中での葛藤が少しずつ晴れていくのが分かった。
話終わった頃には、すでに陽は傾いてオレンジ色の夕日が窓から差し込めていた。
「…ありがとう、聞いてくれて。
Aに話せて本当によかった」
もう一度強く抱きしめた。
「ううん。ユチョンこそ話してくれてありがとう」
Aの顔を見ると頰はまだ涙で濡れていて、それでも笑顔を作っている。
髪を指で撫でながら、とても愛しいと感じた。
「A…、愛してる」
目を丸くして驚いた後、また目を潤ませて俺を見つめながら、
「ユチョン、あたしも、あたしも愛してる」
そう言って涙を流した。
涙をそっと親指で拭い、そのまま唇に触れ優しくキスをした。
今までと同じキスのはずなのに、愛しさが止まらない。
優しいキスからどんどん激しさを増していった。
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作者名:いもたろ | 作成日時:2015年1月17日 22時