夢の韓国旅行 (ページ31)

今日:19 hit、昨日:0 hit、合計:66,801 hit

31.一時のお別れ ~YC~ ページ31

部屋を出ると、なんだか俺も涙が出てきて顔をしかめた。

エレベーターの到着音が鳴って誰か降りてきたから、とっさに非常口のくぼみに隠れた。

ユキさんだ…。

ということは、ミンジュンがまだ下にいるかも。

こんな泣き顔、誰にも見られたくなくて、しばらくそこで身を潜めていた。

今日のA、ホントに可愛かった。

車に乗ってきた時、ドキッとしたんだ。

海に着いて、ずっと二人きりで、このまま時間が止まればいいなって本気で思ってさ、Aが日本に帰りたくないって言った時、本当に帰さないかと考えたんだ。

でも、帰らないでいてくれる？って聞いたら、黙っちゃったから、俺もしっかりしなくちゃって…。

だって、無理なものは無理なんだ。

Aも辛いんだなって、切なくなる反面嬉しかったりして、抱きついてきた時は頭を撫でてあげた。

あれをすると、Aが落ち着くって事が分かったし、うちの犬達みたいだった笑

車の中でもやっぱり落ち込んでて、自分に言い聞かせるつもりで、Aに言った。

「俺たち、もう恋人だからね？
どこにいても、Aは俺のものだし、俺もAのものだよ」

そう言ったら少し元気になって笑ってた。

Aの顔を思い浮かべて、俺は少しフッと笑う。

首にかけられたAのイニシャルを触って、唇に親指をあてる。

まだヒリヒリしてて、Aの感触が残っていた。

次はいつ、あの柔らかな唇に触れられるだろうか…。

ついさっきまで一緒にいたのに、もう思い出しては恋しくなってしまう。

今、この廊下をまた戻って、部屋に入ればAがいる…。

いろんな思いがごちゃごちゃになって、頭を両手で抱えた。

しばらく動けず、じっとそこにいた。

そして、やっと重い体を起こしてエレベーターへ向かった。

帰りの車の中は、音楽を大音量にして家へ帰った。

ミンジュンからLINE。

ジュンスから電話。

どれも出ずにベッドで横になってた。

それでも、やっぱり携帯が気になってとりあえずミンジュンに返信。

ジュンスにもLINEで笑

そして、AにもLINE…。

〈にづくりは終わった？〉

すぐに既読になって、返信が来る。

〈まだ w 今、カタツムリのパックしてたよ〉

カタツムリって…(笑)

こんな風にやり取りすれば、近くにいるみたいだ。

次に会えるのを楽しみにして、仕事頑張ろ…。

そして、俺はいつの間にかそのまま寝てしまっていた。