夢の韓国旅行 (ページ29)

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29.デートの時間ページ29

助手席に乗り込むと、サングラスを下げたままユチョンがずっと見てる。

「ユチョン、見過ぎ笑」

「あ、あぁ… 笑」

やっぱり効果あったかも。
デートだもん、ちょっとはオシャレしなきゃ！

車は郊外に向かってしばらく走った。
その間もふざけて話したり、韓国語を教えてもらったりしてすごく楽しい時間だった。

誰もいない海に着いて、途中で買ったサンドイッチを頬張るユチョン。

美味しそうに食べんのね。

横顔を見て、あぁ、やっぱりこの人かっこいいなって、改めて思った。

明日になったら日本と韓国で離れ離れ。
いくら付き合ったとは言え、一緒に過ごしたのはたった3日間だけで、明日からの孤独に耐えられるのか不安だった。

「明日、日本に帰りたくないな…」

ぽつんと呟いた。

「帰らないでって言ったら、いてくれる？」

「……」

何も言えなかった。
そんな事出来るはずないのに、弱気な事を言ってお互いが困るだけなのに。

「俺もいて欲しいよ、ずっと。
でもさ、お互い仕事もあるし現実は難しいよな。
毎日LINEするから。電話もするから、ね？」

そうなんだよね、現実は甘くない。
明後日から仕事も始まる。
いつまでも現実逃避は続かないんだ。

「うん…。あたしも連絡する…」

もう日が暮れてきた。
夕焼けって、気持ちが余計に寂しくなる。

一緒にいる時間を楽しく過ごしていたいのに、時間が経つにつれて寂しさが込み上げてくる。

たまらず、ユチョンに抱きつくと、ポンポンと頭を撫でられた。

明日にはこの手が遠くなる…。

「そろそろ、戻ろっか…？」

ユチョンの言葉に涙が溢れる。

「うん、そうだね。ユキも待ってるしね」

そう言って立ち上がり、涙を拭いて、私達は車に向かった。

行きの車とは違って、楽しく会話する事ができなかった。
無理に笑ってみせたけど、素直に楽しめない。
そんな私を見てユチョンが、

「A…？寂しい？」

あー、ダメ。また前が見えなくなった。

「……うん…」

「俺も同じだよ？明日から会えないなんて、嫌だ」

「うん…」

「でも俺たち、もう恋人だからね？
どこにいても、Aは俺のものだし、俺もAのものだよ」

「うん、そうだね…！」

安心する言葉。
信じるしかないんだ。
強くなるって決めたばかりだし。

「あたし、毎日ユチョンを想って生きるから！」

「うん、俺も！」

二人で笑った。

笑えた。

ユチョン、私もう大丈夫だよ。