24.本当の事 ページ24
車を取りに戻ったはずなのに、なんで…?
しかも、私バスタオル1枚なんですけどっっ!
戸惑いを隠せずにいると、
「鍵…、閉めなかったでしょ」
ユチョンが言った。
「えっ…、あっ!」
確かに鍵を閉めた記憶がない。
「部屋の外に出たけど、鍵を閉めた音しなかったから、気になって部屋に戻ったらAの泣き声バスルームから聞こえて…。
俺、入る訳にいかないから、部屋の中で待ってたんだけど…」
「あ…、ごめ…」
「俺、何をした?」
悲しそうな顔で、私をまっすぐに見つめてきた。
「あ、何もしてないの、ユチョンは悪くないの…」
だって、どう言ったらいいか分からない。
「じゃあ、何であんなに泣いてたの?
何もない訳ないでしょ」
少し怒ったようにユチョンは声を大きくする。
もう泣きたくないのに、涙が溢れてきた。
涙がこぼれるのを必死に抑えて、唇を噛む。
ユチョンが近づく。
「もしかして電話の事…?」
覗き込むように私を見た。
黙る私を見て、小さなため息をついた。
「あのさ、電話は仕事の人で、Aとの時間を邪魔されたくなかったから出なかっただけだよ?
さっきも言ったけど、気になるなら何でも言って」
あ、怒らせたかも…
「ユチョン違うの、そうじゃないの!」
「じゃあ、何?」
ちゃんと話そう、こんな風になるのはもう嫌だ。
「実はね、あたし、ほんのすこし前まで付き合ってた人がいたの…」
元彼につけられた、心の奥に根付いた傷を全てユチョンに話した。
ユチョンは黙って私の話を聞いてくれていた。
「だから、ユチョンを疑ったんじゃなくて、思い出してしまっただけなの。
そんな事でユチョンに嫌な思いをさせて、本当にごめんなさい…」
涙がまた出てしまった。
そんな私をユチョンは抱きしめて、
「辛かったんだね…」
優しく頭を撫でてくれた。
「俺は絶対にそんなことしない。
だからそんな奴のために泣くのは、これで最後にして?」
優しいユチョン。
こんな私でごめんね。
「うん、あたしもっと強くなるから」
ギュっと強く抱きしめた。
ユチョンも抱きしめる腕に力を入れた。
しばらく抱き合っていたら、ユチョンが気まずそうに、
「あの、Aさ…、今、どんな格好になってるか分かる?」
ハッと我に返ると背中のあたりがスースーしてる。
「う…わっ?!」
巻いていたバスタオルがはだけて、お尻が丸見え。
ユチョンと抱き合ってるおかげで前だけは無事だけど、ものすごく恥ずかしい格好だった。
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作者名:いもたろ | 作成日時:2014年9月11日 14時