夢の韓国旅行 (ページ23)

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23.トラウマページ23

甘い時間…

朝からユチョンに抱きしめられて、キスされて、甘い言葉を言ってくれる。

なんて幸せなんだろう。
こんなに幸せなことある？
傷心旅行に韓国に来て、ほんとによかった…！

幸せをかみしめてると、ユチョンの携帯が震えた。
ズボンのポケットに入ってるらしく、私の太ももにまで伝わる。

「ユチョン、電話じゃない？」

「ん？あぁ」

そう言ってゴソゴソと携帯を取り出し、画面を見てすぐにまたしまった。

「出ないの？」

「うん、いい」

そう言ってまた私に抱きついてくる。

その一連の行動が、別れた元彼とかぶった。

普通なら、電話の相手より私の方が大事なのねって、喜ぶはずの彼の行動が、幸せな気持ちから一気に現実へと引き戻した。

苦い気持ちが込み上げてくる。

抱きしめられた腕をするりと外し、私は起き上がってベッドから降りた。

少し驚いて私を見るユチョンに、

「早くシャワー浴びなきゃ…、荷造りもしなきゃだし」

なるべく平然を装って言ったつもりだけど、顔がこわばった。
それに気づいたのか、ユチョンは

「急にどうした？」

あ、やばい、泣きそう。

「どうもしないよ？ほら、早く準備したほうがいいかなって思っただけだよ！」

後ろを向いて、声だけ元気に張り上げた。
スーツケースから着替えを取り出してバスルームに運ぶ。
戻ってきた私を見て、

「本当に何でもない？」

精一杯造り笑いをしながら頷く。

「わかった…。じゃあ、車取りに戻るからホテル着いたら連絡するね？」

「わかった！」

なるべく明るく言えたはず。

バタンと部屋のドアが閉まると、こらえてた涙が溢れて前が見えなくなった。

「うっ…、ひっ、う～～～～っ！」

泣きながらバスルームへ行く。
熱いお湯を浴びながらずっと泣いた。

もう、これで忘れたい。
トラウマを一緒に洗い流したい。
ユチョンは悪くないのに、ユチョンに嫌な思いをさせた私が嫌だ。

髪や身体を洗う手に力を入れ、シャワーで流すと少し気分はスッキリしていた。
キュッと栓を閉めて、タオルでゴシゴシ拭いて鏡を見た。

いかにも泣きましたって、赤い目。
ユチョンに会うまで直さなきゃ。

タオルを巻いてバスルームを出ると、

「A…」

すごくびっくりして前を見たら、さっき出て行ったはずのユチョンがソファーに座っていた。

「えっ!!ちょ、ユチョンっ！どうしてっ??」

心臓が止まりそうになった。

慌てて胸元を腕で隠す。

ユチョンは寂しそうな顔をしてた。