夢の韓国旅行 (ページ16)

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16.胸の鼓動 ~YC~ ページ16

「Aはビール結構飲むっすね？」

「うん、あたしほとんどビールしか飲まないよ？」

「へぇ、じゃ俺と同じだ。女の子であんまりビール飲む人少ないから、一緒に飲めるって新鮮だな。男友達と飲んでる時みたいに楽っすよ」

「あ、それよく言われる！でもあんまり褒められてる気がしないんだけど。オヤジかって(笑)」

「じゃ、俺もオヤジかっ(笑)」

俺にとって、女の子とこういう話ができるのも新鮮だ。
一緒にいて、本当に気が楽だった。
こんな風に思えるのは、いつぶりなんだろうか。
今までは、自分に寄ってくる女の子で多少気が合って、顔がタイプならすぐ関係を持って…ってドライな関係を繰り返していた。

でもAとは、変わった出会いだったし、韓国ではあまりいない謙虚なタイプで、何より自分を知らないって所が本当に新鮮だった。

キスをしようとした時、自分では珍しくドキドキしてしまった。
目を開けられた時のAの表情がたまらなく可愛くて…。
Aの色んな表情をもっとみたいって、欲が出てしまった。
だからいつもの癖で強引に誘ってしまったことを反省してた。

「急にホテルで飲もうなんて言って、ごめんな。昨日あんなに怖い思いしたのに…」

「ううん、大丈夫だよ。びっくりはしたけど、ユチョンの事信じようって決めたから。それに、今ちゃんと謝ってくれたじゃない？」

俺はたまらない気持ちになった。

(やべー、俺本当に好きだ…)

「ごめん、抱きしめてもいい？」

「えっ？あ、う、うん…」

照れながらもちゃんとOKしてくれて、持ってた缶ビールをテーブルに置き、こっちを向いて両手を膝に置いた。
顔は少しうつむいたまま。

こんなAを見て、キュンとなる。
なんて可愛らしいんだろうか。

そっと両手に触れ、硬く握られたAの拳をほどく。
ほどいた手を自分の手と絡め、片方の手で抱き寄せてギュっと強く抱きしめた。

「聞こえる？俺、すっげードキドキしてんの」

Aにもその鼓動は伝わっていた。

「うん、ユチョンドキドキしてるね。
あたしもすごくドキドキしてるよ」

Aの鼓動も伝わった。

「うん、Aのも聞こえる」

二人はずっと抱き合っていた。

先に口を開いたのはAだった。

「ユチョン、あたし、ユチョンの事…」

「待って！俺から言わせて？」

「え…？」

「俺、Aの事が好きだ…」