夢の韓国旅行 (ページ11)

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11.惹かれる理由ページ11

失恋したばかりだからなのか、外国に来て気持ちが高ぶっているからなのか、理由はどうでもよかった。
ただ、その無邪気に笑う顔と、人懐っこい性格に惹かれるまでに時間はかからなかった。

もっとこの人を知りたい。
純粋な気持ちだった。

またユチョンも同じ気持ちだった。
自分を知らない女の子。
素直に感情を出し、少し強がりだけどとても謙虚で気持ちのいい人当たり。
日頃から有名人ともてはやされ、何をしててもキャーキャー騒がれることに、うんざりしてたユチョンにとっては新鮮な反応だった。

「Aさんのも食べたいな」

ドキっとした。
こんな素直な表現、日本人の男ならしないはずだ。

「あ、じゃあ、あーん」

私のパッピンスをスプーンで取りユチョンさんの顔に近づけた。
素直に口を大きく開けるユチョンさんを見て、キュンとなってしまい、意地悪するつもりがそのまま口に運んでしまった。

「あれ、食べさせてくれるんすね(笑)」

ユチョンさんは仕返しをされると思ってたんだろうか。

「Aさんて、優しいんすね」

顔が熱くなった。
見とれたからだよ、なんて恥ずかしく言えなかった。

そんなやり取りを見てミンジュンとユキは、負けてられないとばかりにお互いのパッピンスをあーんとした。

そんな初々しいラブラブな4人をマスターは、満足しながら笑ってた。

お店を出る時にマスターはミンジュンさんとユチョンさんに話しかけた。

『お前達、いい出逢いがあったようだな。
こんなにイキイキしてる顔は初めてだ。
後悔しないように今の気持ちを大事にしなさい。何かあったらまたここを使うといい。
秘密は守るよ！』

『ありがと、マスター、ごちそうさま！』
とユチョンはお礼を告げた。

しばらく車で観光名所をめぐり、日が暮れてきたところで、

「夜ご飯は美味しいサムゲタンはどうですか？」

ミンジュンさんの提案にみんな賛成し、知り合いの店のサムゲタンのお店に連れていってもらった。

小さな目立たない食堂っぽい所で、おばちゃんが迎えてくれた。
ちょっとの挨拶で、おばちゃんはすぐ2階の個室に案内してくれた。
1階の食堂のイメージとは違って、かなり綺麗な個室だった。

「すごい綺麗な所ですね！」

「ほんと、こんな席があるなんて、VIPルームみたいっ！！」

私達は部屋を見渡した。

有名人御用達の本当にVIPルームな事とは、まだ気づかなかった。