1.傷心旅行へ ページ1
別れは突然だった。
結婚を前提に付き合ってた彼が、浮気をしてたのだ。
彼の携帯のLINE通知が、夜中に鳴っている日が多く、初めは気にしなかったけど、あまりに頻繁過ぎてまさかと思いながらこっそり彼の携帯を見てしまったら、知らない女の人との愛のトークがびっしり…。
結婚するっていうのに、これじゃ先が思いやられるわ。
ものすごくショックだったし、震えが止まらなかったけど、彼には浮気の事を責めなかった。
あまりにも冷静で冷めた自分がいたから…。
それから間もなく、私達は別れた。
あっけない電話での別れだった。
ものすごい虚無感と、脱力感に苛まれてた私を友達のユキが心配そうに飲みに誘ってくれた。
「大丈夫?A〜!
辛かったら泣いていいしさ、パーっと飲もうよ!
何時まででも付き合うからさっ」
「うーん、まぁ辛いっちゃぁ辛いけどさ、あんな浮気男を信じて結婚しようとしてたあたしバカみたいだったなぁっていう、自己嫌悪がすごくて辛いかも…」
「ま、まぁ…、結婚する前に気づけてよかったじゃんっ?!」
「…だねっ‼︎
よーーーしっ、今夜は飲むぞぉ〜‼︎
とことん付き合ってくれたまえよ、ユキっ‼︎」
「う、うんっ‼︎」
少しでも現実逃避したかった。
結婚前提の付き合いというからには、自分の親にだって紹介済みだったから、それを親に話すのが憂鬱だった。
「あ〜ぁ〜、もうどっか旅とか出たいなぁ〜」
ヤケクソで酔っ払いながら、つぶやいた。
そこでユキが、
「じゃぁさっ、韓国行かないっ?!」
と、目をキラキラさせながら言ってきた。
「え〜っ?!韓国ぅ〜?!
そんなんじゃなくてさ〜ぁ、こう、リゾートっぽ いとことかさぁ〜、ヨーロッパとかさぁ〜?」
完全な現実逃避を夢みてた。
今までの生活とは全く違う場所に行きたかった。
「韓国だって海外だし、第一Aさ、そんな遠くに旅行できるくらいの蓄えあんの?!」
ユキが厳しい一言を投げた。
「うっ…!確かに…、そんなに、余裕ないかも…」
「でしょっ!じゃあ、韓国が手頃だよ!
ツアー会社で安い料金で、ホテルと航空券付いてるとこあるしさっ!!
買い物だって、たくさんできるし!!
焼肉食べようよっ!!」
ユキは、もうすでに気分は韓国旅行だ。
確かに結婚に向けて少しばかり貯めてたお金を、パーっと自分のために使ってしまえば、気が晴れるような気がした。
「よしっ!韓国行こうっ!!」
その一言が始まりだった。
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作者名:いもたろ | 作成日時:2014年9月11日 14時