天使と炎の杖代 ページ50
ため息とともに歩を進める。
自分の足が酷く重いことに気づいては何度も足を止めようとしたがマッシュくんやフィンたちが待ってるかもと思うと止まることが許されていないように感じた。
そのままなんとかマッシュくん達の待機室となっている部屋の前で止まると扉越しに物音が聞こえる。
何を話しているんだと思いながら扉を開けるとそこには
「えっ、あAくん」
扉を開けるとそこには梟にシュークリームを取られ僕の方へと視線を向けるマッシュくんがいた。
「あっ右向いてもた」
そんなことを言うマッシュくんの近くには剣を取りだしていたカルドさんが居てはなんとなく状況理解をしていた。
それと同時にカルドさんもマッシュくんが神覚者候補に上がるのを阻止しようとしているのかと勝手な思い込みをしてしまう。
「負けてしまった」
「いいよ。今のはノーカンで。それにもう1人もやっとかなくちゃ。ということでAくんあっち向いてホイ」
彼が下以外を指指したかと思えば剣を大きく奮っていた。
それを上手く避けると無意識的にカルドさんに近づいては顔を下げたまま杖を彼の方へと向けていた。
「え…」
「あいつ…一瞬であんな近くまで…」
フィンとドットくんのどよめき声が聞こえる中下げていた顔を少し上げる。
すると彼は少し驚いたように眉を上げた。
「なるほど…これ以上は辞めておいた方がいいかもね。かなりピリピリした様子の中意地悪してごめんよ。でも…いや、なんでもないか」
カルドさんはそう言うと剣をしまった。
それと同時に僕も杖をしまい上げていた顔を下げる。
「この勝負は引き分けにしよう」
「えっ」
「いいだろそれで」
「じゃあお言葉に甘えて」
マッシュくんがカルドさんに軽い一礼をしながら礼を言う。
僕は今さっき来たからあんまり分からないけど僕が思ってたよりも状況は良さそうだった。
「でも…この程度だとマカロン相手には厳しいかもね。それに…」
続きを話そうと思ったカルドさんを睨む。
彼の言いたいことは何となくわかる。でもそんなの言わせるか。
「なんでもないさ。すまないね邪魔したよ」
カルドさんが去っていく姿を見て安心とともに実感が湧いてくる。多分僕は間違った選択を取ってしまった。
そう思いながら部屋を出ようとした瞬間耳元で声がした。
「次の試合勝ってAくんと戦うから」
そんな言葉を振り切るように部屋から出た。
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作者名：しろねこのみみ | 作成日時：2024年3月17日 12時
