天使は夢を紡ぐ II（男主）【MASHLE】 (ページ45)

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天使と無痛感覚の少年ページ45

それは3年ほど前のこと。
当時中等部では年に一度行われる1年生の実力を測るちょっとした行事が行われていた。
に2、3年生は自由参加となっている中彼らをおちょくったり、自己の実力を知らしめるために参加する上級生も多くいた中高度な魔法を扱う少年がいた。

そんな彼の周りには複数の人が倒れ込んでいた。
返り血を手の甲で拭いながら彼と視線が合った少年は目を丸くさせていた。
そんな少年の名はカルパッチョ・ローヤン。

「君も僕と戦いたいの？実力を見せびらかすため？他人を下に見て楽しみたいため？」
「…僕は、痛みが知りたい」

カルパッチョがそう言うと無数の"雷(いかずち)"が彼を襲った。それらは彼を痺れさせ、動けなくし地面に伏せさせた。
そして彼は視線を少年に向けた。
初めて感じた痛み、それを与えてくれた人の顔を覚えようとしたがその目に映ったのは酷く冷たい瞳を持って自分を睨む少年だった。

「マスターケインに選ばれたと聞いて期待してみればそのザマか」
「なんで、僕の魔法が…」
「何？単純なことだけど。魔法で行われていることならばその魔法を消し去ってしまえばいい。ただそれだけ。簡単なことも分からないの？」

ポツリポツリと言葉を吐きながら自分に近づく彼を見ると左手には持った杖の持ち手から薄い青色のリボンが見える。
それと同時に彼はあの時あえてリボンに付随していた透明色の球体を見せていたのかとカルパッチョに理解をさせた。
地面に横たわっている少年を一度軽く蹴ると彼はその小さな口を開いた。

「君って愚かだよね。自分の痛みを感じたいためだけに僕の前に現れて…僕の邪魔をするな雑魚が。もし次に僕の邪魔をしようものなら…」

＿＿＿殺してやるからな

そう言ってAはカルパッチョの前から立ち去って行った。