カルパッチョと天使の裏の顔 ページ44
女神像が破壊される。バカな…目の前のキノコ頭のヤツに。こんなこと、初めてだ。
そう思っていると彼は鉄の杖をテニスラケットに変形させたものを手のひらに打ち付けていた。
「そんなに知りたいなら教えてあげますよ。痛み」
彼はそう言うと両手でテニスラケットを持ち、頭の上まで上げては勢いよく僕の頭に向けて振りかざした。
「がっ…」
衝撃により僕は地面に倒れる。
これが…痛み…あの時とあいつと…Aと戦ったあの時とはまた違う。
血が止まらない。心臓が鼓動する度に痛みが広がっていく。
Aに負けた時はこんなのじゃなかった。
身体が動かなくなるのは同じだった。でも彼と戦った時には痺れを感じていた。
痛い…痛い…
なんとか顔を動かす。こんなにも痛みとは…恐ろしいものなのか。
そう思いながらフィンに与えていた痛みを思い出す。
彼は他人のためにこれほどの痛みを耐えたというのか。
「大丈夫？」
「うん、ありがとう」
フィンは自分にさし伸ばされた手を掴んで立ち上がり肩を貸されながらも立ち上がった。
それと同時にキノコ頭のヤツの言葉が思い浮かぶ。
＿自分よりも強いと分かっている相手に君はフィンくんみたいに立ち向かえるかな？＿
そんな言葉が出てきてはそれと同時に中等部の頃の記憶が思い起こされる。
アイツに、Aに負け地面に横たわる僕を見下しながら言われた。
＿君って愚かだよね。自分の痛みを感じたいためだけに僕の前に現れて…僕の邪魔をするな雑魚が＿
あの時の彼に立ち向かえなかったのはこういうことだったのか。
キノコ頭と僕、Aと僕、フィンと僕の間にある実力…
「確かに差は歴然だな。僕の完敗だ」
天使と無痛感覚の少年→←マッシュくんと内部進学同率1位の少年
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作者名：しろねこのみみ | 作成日時：2024年3月17日 12時
