天使は夢を紡ぐ II（男主）【MASHLE】 (ページ5)

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一方的に殴られているマッシュくんを見て心配になる。僕は動けないし相手は手出し禁止だと言われているフィンだし…状況がまずすぎる。どうにかしてアベルに攻撃を食らわすことが出来ればいいんだけど…そう焦っているとフィンの持っていた斧が壊れていた。

「なんかあなた…自分のこと深い人間だと思ってそうですね」

マッシュくんの言葉に煽りぶつけたなぁ…と思う。いやぁ、凄まじい煽りですよマッシュさんと思いながら小さくため息をつく。

「あっそういえば金の級硬貨欲しいって言ってましたよね」
「やっと渡す気になったのかい？」
「ええそんなに欲しいなら」

ポケットから級硬貨を取り出したマッシュくんは指圧で級硬貨を飛ばせてはアベルの横を通るようにしてフィンの糸と僕の糸を断った。フィンは魔法がとけたのか元に戻り僕も魔力の吸引が収まり少しだが動けるようにはなった。そのまま級硬貨はマッシュくんの元へと返ってきた。

「ごめんなさい。級硬貨が僕に懐いてるみたいで」

煽りを入れながらも自分に有利な状況を作っていくマッシュくん。これで少しは自由に動けるなんて思いながら立ち上がった。まだフラフラと足元はおぼつかないけど動けないほどでは無いなんて思いながら彼らの様子を見ているとマッシュくんに糸がついた。

「君の揚げ足取りにも飽きたよ。つきあってあげられなくてごめんね」

反抗のように自ら動こうとするマッシュくんに持論を並べるアベル。その様子を見ながら急いでフィンを回収する。自力では持てないから急いで拾った杖を使ってなんとかフィンをこちら側に回収できた。フィンをゆっくりと寝かせて僕のローブをかけながら2人の様子を見る。

「関係ないです。そんなこと。あなたには。僕の友達に手を出したこと後悔してもらわないと」

そのまま糸を外したマッシュくんはアベルに膝蹴りをお見舞した。よし、これで勝利が見てたなんて思った瞬間アベルが呪文を唱えた。

「マリオネスチェンジ」
『っ！マッシュくん！』

マッシュくんの手がどんどんと人形になっていくのを見て慌てて杖を構える。

『カ…！』

呪文を唱えようとした瞬間にどくりと心臓が跳ねた。
今、無意識に固有魔法を使おうとした？そう思うと脳に嫌な記憶が蘇る。コマ割りのように途切れ途切れだが誰かが何者かに連れ去られて僕がそれを追おうとして手を伸ばしながら泣いている。嫌、やめて…その記憶だけは思い出させないで。