天使は夢を紡ぐ II（男主）【MASHLE】 (ページ38)

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しかしそんな先輩はボロボロ状態で倒れた。
そんな彼の後ろにいたカルパッチョが目に入る。
あいつと思いながら苦い顔をする。

『いくら自分の固有魔法の性質がアレとは言え…あそこまでやる必要ないよ…普通…』

彼の目には届いていないだろうが上から彼を睨みつける。
すると彼は一瞬こちらを向き視線が合ったような気がした。
しかしそれは次の瞬間確証に変わった。

「お前みたいな場に出ない人間が僕と同等だなんて腹立たしいよ。雑魚は黙って死んでろよ」

声は聞こえないものの何となく言いたいことはわかった。
その言葉は僕に投げつけられたのだろう。今すぐにでも固有魔法を使ってあいつを黙らせてもいいが安易に使えないと思った僕はその言葉を無視することにした。
彼は僕から顔を背けると前に出て先輩の頭を踏みつけていた。
あの場にいないしここから安易に現場に行けないなんて思っているとマッシュくんがカルパッチョに声をかけた。
声は聞こえないものの彼に目をつけられるのはかなりまずいと思っていると彼は受け取ったドリンクをマッシュくんにかけた。

いや、正しくはかけようとした。
そう、かかるはずだった水はマッシュくんが出した容器に入れられていた。そしてそのままその容器を振って…プロテインにして飲んでいた。

『き、肝が据わりすぎてる…』

手すりを握ったままその場に座り込み、僕の心配を返して欲しいと思う。すると隣でレモンちゃんが心配そうに僕に声をかけていた。笑顔で立ち上がりながらそっと『今の一瞬でどっと疲れが押し寄せてきた』と話すとレモンちゃんはさらに心配をしてくれた。ガチで優しいじゃんレモンちゃん。
とりあえず、マッシュくんとカルパッチョの直接対決が始まりそうだと思った瞬間、3人1組に分けられているようだった。
そして再び説明が入る。
1人1個の水晶を守りながら相手チームの水晶を全て割るというものらしい。

『マッシュくんとフィンとドットくんが同じチームかぁ…こりゃカルパッチョに狙われる可能性高めだね』
「え？そうなんですか？」
『うん。さっきのでマッシュくんへの敵意を抱いたし…なにより…あいつが1番敵視してるのは…僕だから…』
「え？」

視線を下げながら言うとレモンちゃんは困ったような声を出す。多分カルパッチョ(あいつ)は僕が選抜試験に出ると思っていたのだろう。しかし蓋を開ければ出ていない。それだけでも腹立たしいのにマッシュくんの発言。
彼が敵意を向けるのも仕方がない