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天使と新しい杖 ページ26

「フェル?大丈夫?」
『え、あ…うん。なんか落とした気がしただけ!特に何もなさそうだった!心配かけてごめんね!』


えへへと笑いながらフィンたちに追いついて横並びになりながら歩く。多分、僕は今後重要な選択をしなければならないような気がする。


「着いたぞ。ここだ」


ランスくんが声をかけた場所を見上げるとそこは木材とレンガでできた小屋のような場所だった。
扉を開けて中に入ると天井や壁に無数の杖が飾られていた。
杖屋さんってこんな感じなんだと思いながら辺りを見回す。


「いらっしゃい。イーストンの子かね?」
「あっはい」
「わぁ…すごい種類」
『これ全部売り物なのかな?』
「いつ来ても杖屋はワクワクするな」
「僕も杖買い替えようかな?」


フィンが魔力を測ったのか手を出すと壁にあった杖が動き出し、フィンの手元にやってきた。


「ほえ〜」
「魔力が適した杖を呼び寄せるんだ」
「杖は魔力の出量装置。魔法使いにとって体の一部も同然。相性がいい杖でぐんと魔法がうまくなったりするんじゃよ」


店主さんの言葉になるほどと頷く。杖は本当に大事なんだなと思いながら今日買い替えてみても悪くないかもと考える。
今までずっと同じ杖を使ってきたから買い替えてどう違うのか比較してみよう。なんて思いながら僕も魔力を測ろうと前に出る。一息はいて手をかざすと壁にかけられていた杖が僕の手元に来た。軽く握ると今までのよりも握りやすかった。


『杖でも握りやすさとか変わってくるんですね』
「ほっほっほ、そうじゃそうじゃ。握りやすさ、硬さ、素材がそれぞれ違うからのぉ。果てはお主、今まで杖の買い替えしてきたことがないのかのぉ?」


店主さんの言葉に目を丸くしては困ったように眉を下げる。実際買い替えるのは今回が初めて。


『えへへ…じつはそうなんです。お母…母親から今までずっと立派な魔法使いになるまでその杖1本で歩みなさいって言われてて…母親からの言いつけを破るのは最低ですけどね…でも、少しでも強くなれるなら…僕はそれはそれもいいのかなぁ…なんちゃって』


笑顔でそう言いながら両手で杖を軽く握る。
言いつけとか今まで沢山守ってきたしそろそろ僕を表してもいいんじゃないかって思えてきた。それに何より、僕らには無邪気な淵源との関わりがある。いつ何が起きてもおかしくない。だからこそ力が必要だと思っていた。
そのままの流れでランスくんが魔力を測った。

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作者名:しろねこのみみ | 作成日時:2024年3月17日 12時

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