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まずい、どうにかしないとなんて思いながら杖に手を伸ばす。もう少し、あと少しというところで届かない。このままじゃ…僕……そう思っているとふわりと身体が宙に浮いた。
「Aくん。大丈夫？ここは僕が何とかしておくから逃げ…れなさそう。じゃあ端っこで座ってて」
僕の傷を見てマッシュくんはそう言うと僕を端の方へと下ろしては頭を軽く撫でてアベルの方へと行った。
いやいや、最後の頭撫でるの要らなくない！！？と思いながらマッシュくんを見守る。どうか、勝ってと祈りながら。襲いかかる人形を殴りで破壊すると酸が出てくる。急いで液体を避けるとその場が溶ける。
「その人形の中には酸が入っているんだ。気をつけた方がいい」
「あっそう」
ごろごろと転がっていた人形の頭を蹴り上げて手で持ち上げた彼に何をする気だ？と不安になりながら見つめる。すると彼は見覚えのあるポーズを取った。おい待て待て待て待て、そのポーズからして何とかなくわかるぞ、お前ボーリングやる気だろっ！
「フン」
声とともにボールという名の人形の頭を転がすように投げる。すると人形はそのボールに次々と当たり…ナイスストラーイク！じゃないわ！なんでボーリングみたいになってんだよ！！！
「あの、さっき劣等遺伝子がどうとか言ってましたけど。もし僕があなたに勝ってしまったら、あなたのほうが劣等遺伝子になったりしませんか？」
「口が減らないな君は」
「それとさレモンちゃんはどこにやったの？」
「レモン？誰のことを言ってるか分からないが僕はみんなから魔力をもらっているだけだよ」
「"だけ"？でもそれでみんな体調が悪くなってる」
「言っただろう。強き者が弱き者から奪うのは…当然の権利だ」
アベルがそう言うとマッシュくんの目の前に巨体の人形が3体現れる。まずい、不意打ちとは言えあの1体ですら僕は対処出来なかったのに…それが3体も…早く、早く何とかして立ち上がってマッシュくんのサポートをしないとと思いながらも体は言うことを聞いてくれない。
「君はそいつらを止めることすらできない。でもそれが今の君の実力だよ」
3体の人形が一斉にマッシュくんへと飛びかかるしかし一瞬で人形を殴り飛ばしてしまった。その光景に思わず目を丸くする。
「強い者が弱い者から奪うのは当然の権利なんだよね？じゃあさ…勝ったら教えてね。レモンちゃんの場所。それと…Aくんから取った級硬貨も」
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作者名：しろねこのみみ | 作成日時：2024年3月17日 12時
