天使とカオスな祝賀会 ページ20
追いつかれた僕はあのあとみっちりお説教を受けて頬にビンタを食らった。痛いなんて思いながら放課後302号室に行く。
頬に湿布を貼って部屋に入るとそこには美味しそうな料理がずらりと並んでいた。
「あ、Aくん。良かったらこっちに」
『わわっ』
僕の存在に気づいたマッシュくんが僕の手を取って席の方へと案内するように引っ張る。するとフィンが軽く手を振った。それに気づいて僕はマッシュくんとフィンに挟まれるように間にあった席に座る。
「レアンの級硬貨ももらったことだし、あとは神覚者に選ばれるのを待つだけですな」
「急に？」
フィンの奥で暴れだしたドットくんが気になるなぁなんて思いながらも未だにちょっと叩かれた右頬が痛いと思いながら湿布の上からそこを軽く撫でる。
「あとちょっとですね。問題は山ほどあれど」
レモンちゃんの発言に尚更神覚者試験が目前だと言うことを自覚させられる。級硬貨の数的に参加出来る見込みはあるが何となく参加する気が起きなくなっていた。マッシュくんたちと会って行動するようになってからずっとそう、どこか僕の中で気の迷いが生じていることを自覚していた。今まではお母様の言葉通り神覚者になるためだけに学術も実技も1番を目指していたが今はなんか、そんな風に思えない。
無意識にローブの裾を握りしめていたのか右から僕の手の上に手を重ねられるのが見えた。
「フェル…？大丈夫…？」
不安げに眉を下げながら僕の表情を覗くように顔を下げた彼を見ては頬を緩めた。
『大丈夫大丈夫！！ちょーっとボーッとしてただけだよ！』
僕がそう言うと彼は不安という感情を瞳に宿したまま「そっか」とだけ呟いた。にしても…なんで、アベル先輩にアビス先輩まで揃ってるの！！2人がいると威圧感半端ないってか怖いんだけどっ！！！と内心カタカタ震えていた。
「トランプ持ってきたけど、一応」
アベル先輩の言葉に思わず、ん〜っ！！！ギャップ〜っ！！！！と叫びたくなるがなんとか言葉を飲み込む。
「君たちと馴れ合う気はないがアビスの快気祝も含め僕も空気を読もう。上に立つ者の務めだ」
「なんか、言われるとやだな」
「ちなみにアベル様以外がゲームに勝ってしまった場合…殺します」
明確な殺意を向けられて思わず泣きたくなる。祝勝会って何？快気祝ってなんなのっ！！！てか楽しい雰囲気だよね！これ普通は！
「そんな怖いこと言ってないでお茶でもいかがですか？」
「えっあっ…」
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作者名：しろねこのみみ | 作成日時：2024年3月17日 12時
