天使は夢を紡ぐ II（男主）【MASHLE】

弱者と抵抗 ページ15

アベルのハーム・パペットがマッシュくんを守るようにして洗われた。


「強い者が弱い者から奪うのは当然の権利。そして…強者に抗うのもまた、弱者の当然の権利だ」
「なんのつもりだ？アベル」
「確かめるんだ。何が正しいのかを僕自身の手でな」
「ふ〜ん…あっそ」


奇声を上げて襲いかかろうとするハーム・パペットに向けて魔法を放つ姿を唖然と見つめる。やはり質量が多すぎるのかハーム・パペットがみるみるうちに破壊されていく。


「残念、こんな魔法じゃ僕には勝てな…」
「ども」


人形の中から出てきたマッシュくんが見事な顔面パンチをして勝ったなんて思ったが彼は全く効いていないようだった。


「初めてだ、僕の硬い表皮を破ったヤツは。不意を突かれたとはいえな。なんの魔法を使った？」
「え？」
「貴様の固有魔法はなんだと聞いている」
「え…え〜と…パワー」


マッシュくんが言った自分の固有魔法に疑問を覚える。パワー？え？人体強化魔法とかじゃなくてパワー？力？ん？どゆこと？


「フン…答える気がないようだな。まあいいよ」
「なっ！あれは」


魔法について答えなかったマッシュくんに対して彼は持っていた魔法道具を出す。見覚えのあるそれに顔を青くさせていた。あの魔法道具は魔返しの鏡、魔法をそっくりそのまま返す恐ろしい魔法道具の1つで強力であれば強力であるほどその威力は増される。そんな道具をなんで彼がと疑問に思う。


「魔法局が管理しているはずなのに、なんで…やめろマッシュ！それは俺たち魔法使いには攻略不可能。放った魔法がそのままはね返ってくるんだ。一歩間違えれば大ケガじゃ済まないぞ！」


まずい、魔法無しでどう攻略するんだ。ほとんど攻略方法が無いものなのだ。一体、どうしたら…


「フン…僕の邪魔をするからだ。お前ら全員後悔させてあげるよ。さあ使えよ魔法を。自分の魔力で朽ち果てるといいさ。できるものなら…」


次の瞬間、マッシュくんは蹴りひとつで鏡を壊した。
うん、蹴り…ひと、つ…で？………え？


「まほ…」
「まほ…」
『まほ…』
「まほ…」
「魔法じゃねえ！」


彼の行動にヒヤリと嫌な予感がする。今まで彼が勝利を築いてきたのは魔法ではなく全てその身1つで繰り出されてきたものだったってこと！！？


「い…今までのは魔法じゃなかったってこと？」
「マッシュくんはその身ひとつで…」
「マジかよ」
「「それはそれでおかしくない？」」

マッシュくんと魔法…？→←↓

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