マッシュくんと必要とされる人 ページ13
マッシュくんの明確な敵対心を見てこの戦いは非常に難しい戦いになるんじゃないかと予想する。さっきの片手で石を受け止めたと言い魔力の出力を初めとした魔法使いとしての格の違い。彼は相当強いのだろう。
「"ボコボコにする"か…いいね。30分ってとこか?そいつが助からなくなるまで。果たして助けられるかな?」
宙に浮いては杖を構える彼。30分で勝負をつけないとならないという条件付きかと思いながら苦い顔をする。
すると4つの円が出てきてはそこから黒い炭素の塊が飛び出してきてそれらがマッシュくんを襲う。殴りで炭素を粉砕するが量が圧倒的に多すぎる。
それらがフィンたちに当たらないようにフィールドを展開させる。
「どうした?ボコボコにするんじゃないのか?それとも口だけか?」
マッシュくんの右肩を炭素が掠めて彼の肩から血が流れる。そんな中量を増した炭素がマッシュくんを襲う。受け止めきれなかったのかマッシュくんが後ろに押し出される。
『っ!マッシュくん!』
「アハハハハッ!」
このままじゃマッシュくんが殺されちゃうなんて思っていると僕らの方にも攻撃が来た。基礎攻撃魔法でなんとか応対するが正直いつまで持つのか分からない。なんて思いながらちらりとフィンたちを見る。彼らの手を煩わせる訳にはいかないなんて思いながら杖を握る手を強めた。
「ボーッとしてるなよアベル」
アベルに向けて放たれた炭素をマッシュくんがグーパンで粉砕する。
「カーボレイン」
詠唱とともに無数の炭素が雨のように降り注ぐのをマッシュくんがラッシュで粉砕していく。僕も広範囲で魔法を使うことでなんとか攻撃を弾いていた。
「無理だ。僕らの立場は圧倒的弱者、ヤツには勝てない。アビスもバカだ。僕のことなどわざわざかばう必要などなかったのだ」
「うれしかったんだと思います。ずっと独りぼっちで寂しくて。生きているのがつらくて。だから…あなたに必要とされたことがうれしかったんだと思います。僕も同じような立場だったらって…だから…助けます」
マッシュくんの言葉に息が止まる。必要とされる。独りぼっちが辛い。その気持ちは痛いほどわかる。僕だって誰かに必要とされたかった。魔力量とかそういうのじゃない。僕として誰かに必要とされたかった。でもそれを素直に言えるはずがないし僕はこうして僕を綺麗事で塗りつぶすことで誰かの近くに居れる。
57人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:しろねこのみみ | 作成日時:2024年3月17日 12時