人間洗浄機１１

日常366　実家の様な安心感 ページ10

無花果が踵を返すと、再びその場の空気が緩む。

少女はピンと張りつめていた緊張を一瞬で解いて＿

「あ〜勝てた〜！」

と叫んだ。
そして、パッと振り返り

「今度こそ、ただいま？三度目の正直という奴ですね。」

とニカっと笑った。

先ほどの少女とのギャップに着いていけていないのか、一同は唖然とするしかないが、今度こそ乾Aが帰ってきたのだと、確信できた。

真っ先に少女の元へ動いたのは、

「良かったー！！いつも無茶し過ぎなんだよ！」
「難しい話は分からなかったけど、とにかくアホ！」
「Aさん！お帰りなさい！」

山田３兄弟だった。
一目散に走り、少女に抱き着いた。

少女も、久しぶりに感じたその温もりに必死に手を回した。

「…ありがとう。」

すると、後ろからコツンと軽い裏拳を少女の後頭部に受ける。一郎は一瞬ムスッとしたが、空気を読んで少し離れてくれた。

少女は笑いながら振り返る。

「あ〜…何だ。無事で良かった。お帰り。」
「本当、いつもヒヤヒヤさせてくれますね。…お父上の事、後で説明頼みますよ？」
「あぁ、やはりAはこうでないとな。良く帰って来た。」

振り返った先には左馬刻、銃兎、理鶯がいた。
父のことをコソっと聞くのは何となく、銃兎らしい。少女はくすりと笑った。

「えぇ。次の金曜日にしっかり説明しますね。色々。」

少女がそう言うと、満足したのか彼らは少女から離れた。次に後ろから衝撃が来る。

「Aー！落ちた時助けてくれてありがとう！怪我してなぁい？？」
「流石、小生の騎士殿。今回も大活躍でしたね。」
「賭けとかなんとか言ってたな！どんなギャンブルしたんだ！？」

衝撃の原因は、乱数、幻太郎、帝統。

「怪我は無いよ。大丈夫！後、説明は今度ゆっくりするね。」

と少女が笑って彼らをギュッと抱きしめると、その場では満足したのかそのまま離れていく。
＿寂雷の気配がしたから、僕は退散っ！
らしい。

「Aさん、お怪我はありませんか？」
「Aちゃん、今回はよく頑張ったね。お帰り。」
「本当、いつもよくトラブルに巻き込まれるよな。でも帰って来てくれて良かった。」

後ろから寂雷、一二三、独歩の声がする。
少女が振り返ると、それぞれに頭を撫でられた。

「怪我は…今度診察に行きます。後、マットレスの件は本当にありがとうございました。」

少女がそう答えると、
＿わかったよ。あまり無理しないでね。
と離れていった。

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