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扉の向こうでは、見える位置で一郎さんが体を流していた。何となく彼に近づくと私の体も流してくれた。

「どうせですから、浸かりましょうか。」
「そうだな。」

そう言って二人でお湯に足を踏み入れる。
隣り合って座る私たちの間にあったはずの微妙な空間はいつの間にか無くなっていた。そして、実は二度目の夜で一郎さんの敬語は取ってもらっていた。

「いい湯ですね」
「あぁ、いい湯だな。」

遠くを眺めながらぽつぽつと会話をする。

「これ、いつまで入ってたらいいんですかね。」

私が純粋な疑問を口にすると、何故か一郎さんは申し訳なさそうな顔をした。

「ごめんな。俺の親父が。」

その言葉を聞いて納得した。成程、一郎さんは申し訳なさを感じているらしい。

「別に大丈夫ですよ。温泉好きなんで。」

私は事実を伝えただけなのに、一郎さんは悲しそうに笑った。

「でも、めんどくさいだろ?好きでもない男とこうやって定期的に会うの。」

ただ会うだけならまだしも、私たちの父親は方向性がおかしいからな。
一郎さんが申し訳なる気持ちもわかるが、1つ言わせてほしい。

「何言ってるんですか?私、好きですよ。」
「え?」
「だから、一郎さんといるの好きですよ。」

そう、私はいつの間にかこの男山田一郎に絆されていたのだ。
ドヤ顔で一郎さんを見ると、唖然としながらただ私の顔を見る。そんなにイケメンに見つめられると照れてしまうからやめて欲しい。

「マジ?」
「まじまじ。」
「え、もう一回言って。」
「好きですよ。」

もう一度伝えると、一郎さんはお湯に潜り込んだ。
え、何故に。純粋に怖い。

1分後くらいに一郎さんはようやく頭を出した。

「あ、良かった。私の言葉が嫌すぎて自害を図ったのかと思いましたよ。」
「いや、頭を整理してた。」
「ここ、温泉だから頭冷えるどころか沸騰しますよ。」
「だよな。正直、今凄くくらくらする。」

そう話す一郎さんの顔は真っ赤だった。
うん、水飲んできな?

そんなことを思っていると_

「俺も好きなんだよな。」
「私と居るのが?」
「うん。」

そんなことを言い出すから、話がまとまってくる。
結論は1つしかなかった。

「じゃ、しますか。結婚。」
「だな。するか。結婚。」

そうと決まれば話は早い。
私達は手を取り合って、タオル姿のまま飛び出して畳へと走り出す。

相変わらず楽しそうに酒を飲む父親ズに私たちは手を繋いだまま_

「「俺達/私達、結婚します!!!」」

宣言した。

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いもけんぴ(プロフ) - あきえさん» あきえ様、コメントありがとうございます。とても嬉しいです!!左馬刻様ですね!お任せくださいませ!私も、実は左馬刻様が最推しです… (2022年7月10日 0時) (レス) id: 9d0d70bc15 (このIDを非表示/違反報告)
あきえ(プロフ) - 初め芋けんぴ様の作品大好きで読ませて頂いています!あまり無理しない範囲で更新お待ちしています!(出来たら、出来たらで良いので!左馬刻様の登場!!よろしくお願いします!!) (2022年7月9日 21時) (レス) @page50 id: 7956ee69df (このIDを非表示/違反報告)
いもけんぴ(プロフ) - 蒼井とーるさん» 蒼井とーるさん、お久しぶりです!コメントありがとうございます。お褒めの言葉も嬉しい限りです!私も、蒼井さんの反応集好きで、読ませていただいてますよ! ポッセのお茶会、良いですよね〜。絶対平和です。 (2022年7月9日 0時) (レス) id: 9d0d70bc15 (このIDを非表示/違反報告)
蒼井とーる(プロフ) - 今回も最高でした…!ポッセのお茶会に混ざりたい今日この頃です。 (2022年7月8日 10時) (レス) @page49 id: 90146b8ac1 (このIDを非表示/違反報告)
いもけんぴ(プロフ) - なのはさん» なのは様、コメントありがとうございます。お返事が遅くなり申し訳ありません。パスワード設定の作品の公開はもう少しお待ちいただけますと幸いです。更新も、私生活が忙しくままならない事を申し訳なく思っております。 (2022年6月25日 10時) (レス) id: e6e71631e0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:芋けんぴ | 作成日時:2021年6月19日 23時

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