日常252 大事な人 ページ40
「おはよー。」
少女が朝起きてリビングに出ると、
「A!」
「Aさん!」
二郎と三郎が飛びついてきた。
少女は寝起きということもあり、急な重みに耐えられずそのまま後ろによろけてしまう。
倒れてしまう!っと思った時、
「よっと。Aは病み上がりなんだから程々にしとけよ。」
「あ、一郎。おはよう。」
少女の後ろに一郎が来て、よろける少女が倒れる前に支えてくれた。
前方と後方から来る温もりに少女は頬を緩ませる。
「んふふ〜心配かけてごめんね。」
少女がそう言うと、二郎と三郎の顔が上がり、
「本当だよ!あんな連絡じゃ心配すんじゃん!俺、シンジュクに迎えに行こうとしてたんだよ!?」
「今回ばかりは二郎の言う通りです!もう!どうして貴女はいつもいつも僕たちを心配させるんですか!?」
怒涛の説教が始まった。
そぉ〜っと少女が2人から顔を背けると、
「こーら。ちゃんと聞け。そして反省しろ。」
ニッコリ笑う一郎に顔を戻されてしまった。
これでは2人から逃げられそうもない。
_くっそー。一郎め。
少女は一郎を恨めしく思いながら正座して、2人からの長い長い説教を受けきった。
もう痺れて足が限界に達した時、2人はため息を吐き、
「まったく。兄ちゃんを庇ってくれたのは嬉しいけどさ、俺たちAだって大事なんだぜ?」
「本当ですよ。Aさんが倒れた時、僕たちがどんな思いでいたか…。」
そう言って、今度は優しく少女を見つめる。
二郎も三郎も少女の手を左右で取って、優しく握る。
「これは二郎と話したことですけど、」
「Aのことだって大事に思ってるんだからな。危ないこととか、傷つくこととかは…その…」
人のために動ける少女が好きだ。
これは、少女と関わった多くの人が思うことだろう。
しかし、
「人のために動きすぎるAさんは時々嫌いです…。」
三郎は目を潤ませてそう言うと、少女をぎゅうっと抱きしめる。
二郎は握りしめたままの少女の右手をおでこに近づけていた。
_こんなに考えてくれたんだ。あの喧嘩ばっかりの2人が。私のために、話し合って。
こんな状況に何だが、少女はにやける頬を抑えるので必死だ。
こんなにも愛を貰えるとは思わなかったのだろう。
少女は二郎が握る手を引っ張り、二郎を引き寄せる。
そして、
「ありがとう。嬉しいよ。心配かけてごめんなさい。」
可愛い可愛い二郎と三郎を抱きしめるのだった。
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きな粉もち - いもけんぴさん» ご返信ありがとうございます。楽しみに待っています! (2022年10月29日 18時) (レス) id: 7285b7d776 (このIDを非表示/違反報告)
いもけんぴ(プロフ) - きな粉もちさん» きな粉もち様、コメントありがとうございます。いずれ、全体公開を考えているため、もう少しお待ちいただけますと幸いです。申し訳ありません。 (2022年10月27日 16時) (レス) id: 9d0d70bc15 (このIDを非表示/違反報告)
いもけんぴ(プロフ) - くりゅさん» くりゅ様、コメントありがとうございます。いずれ、全体公開を考えているため、もう少しお待ちいただけますと幸いです。申し訳ありません。 (2022年10月27日 16時) (レス) id: 9d0d70bc15 (このIDを非表示/違反報告)
いもけんぴ(プロフ) - れんさん» れん様、コメントありがとうございます。いずれ、全体公開を考えているため、もう少しお待ちいただけますと幸いです。申し訳ありません。 (2022年10月27日 16時) (レス) id: 9d0d70bc15 (このIDを非表示/違反報告)
きな粉もち - 人間洗浄機シリーズ、いつも楽しませていただいております!8以降のパスワードを教えていただけないでしょうか? (2022年10月26日 16時) (レス) @page47 id: 7285b7d776 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:芋けんぴ | 作成日時:2021年1月17日 19時