【王騎】17 ページ17
「ジョーダンじゃねぇよ!こんな事、冗談で言えるか…。同期で研修医として入ってから、すぐ惚れた。飾らないとことか、仕事に真っ直ぐなとことか、ほんと、俺なんかと違ってて、すげぇーって、素直に思えた…けど、その男として年下に負けてるって思うとすごく…情けなくて、つい、その、嫌な事言ってた」
いつもと違う瀬戸に、Aも戸惑いを隠せない
嫌な奴だった筈なのに
今目の前にいる瀬戸は、嘘偽りのない話をしていると
それだけは確かだとはっきりとわかる
「好きなんだよ、高杉が」
「っ…!そ…んな事言われても…」
「だよな。俺なんか、嫌いだよな」
「…うん、嫌い。けど、今みたいに素直に真っ直ぐなあんたは…嫌いじゃないよ」
「じゃ…」
「気持ちには、答えられない。好きな人いるから」
「っ…そ、そうか……どうなんだよ、落とせそうか」
気持ちを紛らわせるためか、重くなる空気を軽くするためなのか、瀬戸はAの恋話へとシフトしようとする
Aは問われた事に対して、切なげに笑った
「敵わないと思う。大事な人がいる人を好きになったから」
そんな風に言うAに瀬戸は両肩を掴み体ごと自分の方へ向かせて言った
「伝える事怖がってたら、俺みたいになんぞ。伝えなきゃ、前に進めないんだぞ。ダメならそれでいいだろ。ダメだってわかってて、想い続けるのって楽しいかよ」
「た、楽しいわけない」
「逃げんな!伝えて、俺みたいにフラれてこいよ。フラれれば前に進むしかなくなんだからよ」
簡単に言わないでよ…Aはそう思いつつ
瀬戸の言うことは正しい事も分かっていた
ずっとこのままでいいわけじゃないって、分かってた
親睦会は御開きとなり、現地解散となった
Aは瀬戸に言われたことを胸に
一人帰路に着く
王騎への想いは伝えてある
伝えるつもりじゃなかったけれど…
それでも、答えを聞かないようにずっと避けてた
王騎なら、きっと答えを出している筈だから
だから、二人になる時間を極力減らして来たのだ
「逃げんな…か」
帰宅すると王騎はもう寝てしまっているのか、部屋は暗かった
Aも今日は話をするような時間じゃないからと、明日も仕事のため、早々に風呂に入ってすぐに寝る事にした
次の日、普段通りの時間に起き、王騎と朝食を共にした
王騎は少し驚いたような顔をしていたが、会話は無かった
話しかけにくい
ただそれだけだった
「A。これお弁当ですよ」
「あ、ありがとう…ございます」
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RUI(プロフ) - 凌さん» なかなか更新できず申し訳ありません!順次制作しようと思いますので、よろしくお願いします。( *´艸`) (2020年9月6日 11時) (レス) id: f01634fd46 (このIDを非表示/違反報告)
凌 - 李牧落ちありがとうございます。現代編も読んでみたいです。紫伯もお願いします。 (2020年9月6日 11時) (レス) id: 0f75895f1e (このIDを非表示/違反報告)
RUI(プロフ) - 凌さん» コメント、リクエストありがとうございます!李牧さんも素敵ですよね!現代と過去どちらがお好きですか? (2020年8月13日 23時) (レス) id: f01634fd46 (このIDを非表示/違反報告)
凌 - 李牧落ちでリクエストしたいです。 (2020年8月13日 16時) (レス) id: 0f75895f1e (このIDを非表示/違反報告)
bluemoon(プロフ) - もちろんです!また、お邪魔させてもらいます!リアルに夢主ちゃんと同じ位身長があり、職業はお医者さんではないですけど笑。自分と重ねて読まさせてもらいました。疲れていても家で王騎将軍が待っていてくれたらいいのにと本気で思ってしまいました笑。応援してます! (2019年9月17日 21時) (レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:RUI | 作成日時:2019年9月15日 23時