【キングダム】これ、落としてましたよ

これはデート？ ページ9

「そう言って頂けると助かります。さぁ、行きましょうか」


騰はそう言うと、スマートにAの腰に手を添えてエスコートするように促した

少し歩いて駐車場に着くと、さぁ乗ってくださいと
外車のドアを開ける紳士的な騰に
ぽーっとなるA…
ハッとしてすぐに車に乗り込む

車に乗るとすぐに発進し
車内は感じのいい洋楽が流れる


「あぁ。そうだ、これを」


そう言って騰は後部席から少し小ぶりの花束をAへ差し出した


「へっ！？あの…」
「その花はお嫌いでしたか？」
「い。いえ！ラナンキュラスなんて…この時期あまり出回ってませんよね…」
「そうみたいですね、ただ私は貴女のようだと思ったので、探してもらったんですよ」


騰の言葉に、Aは顔を赤くした

ラナンキュラス…
花言葉はとても魅力的

そう言う意図があってこれを渡して来たのかはわからないが、花屋のバイトに花を贈るのだから
そう思われても仕方ないだろうと
Aはどちらにとって良いのかわからないが、とにかく気恥ずかしかった


「あの、ありがとうございます。とっても…綺麗です」


車はしばらく走ると、目的地に到着したようで
騰は車から降り、さりげなく助手席を開けてくれる

Aは、まるでお姫様になったような錯覚に陥りそうで、照れ臭かった


「えっ、こ。こんな高そうな所…とてもじゃ無いですけどっ」
「お礼ですから」
「いえ、だって…たかが社員証ですよ！？それに、こんな格好じゃ」


騰はそう言うAを見つめると
そんなに構えなくても良いと言う


「あの社員証があれば会社のどこにでも入れてしまうんですよ。なので、もし悪質な人間に拾われていたら…。それにここはドレスコードも無いし、なにより貴女は魅力的だ、問題なんてありません」


花言葉の通りのセリフを言う騰に、冷めた熱がまた上がるような気がした


さぁさぁと中に促され、いつのまにかAは席に着いていた

ウェイターがやって来て、メニューを置いていくと、騰はすぐにウェイターを呼び止めてフランス語なのか、なにかの料理名を伝えていた

すぐにウェイターはボトルを手に戻ってくると、Aの目の前のグラスへ注いでいく


「アルコールは苦手でしたか？」
「いえ、その…ワインはあまり飲まないので…」
「飲みやすい物を選びましたから、良ければ飲んで見てください。せっかくのデートですから」
「へ！？」
「失礼。お礼でした。私はそう思いたいんですけどね」

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