【キングダム】これ、落としてましたよ

認められる喜び ページ7

「ほぉ、Aがこれを？」
「ど、どうですか…？」
「あぁ、良いじゃないか。オアシスも綺麗に角取りされてて、網が浮くのを防いだのか…挿し方もしっかり刺さってて、配色、配置申し分ないよ、なぁバジオウ」
「流石Aだな」


バジオウはそう言うとAの頭をポンポンと撫でる

それに恥ずかしくて顔を赤くするAを、バジオウは心の中でもっと撫で回したいのを必死に耐えていた

Aは楊端和とバジオウに認められてウキウキ気分のまま、その日の勤務を終えて
いつものように電車に乗り帰宅した

電車に乗ると、同じ時間に乗るともわからない騰の姿をなんとなく探す自分がいる事に気付いて
1人恥ずかしくなった


家に着くと貰った電話番号をまず登録して
騰も使っているらしいチャットアプリで電話番号検索にかけた
すると、内史 騰と名前が上がり、プロフの写真を見てAは思わず笑ってしまった
何故なら可愛いラテアートが描かれたラテとドーナツの穴に動物型のドーナツが顔を出している
まるで女子のようなトップ画だったから



"こんばんは、橘Aです。今日はありがとうございました。トップ画、可愛いですね"

Aはそう送信した
しかし、その日は返事が返って来ることは無かった






「うっわ！どしたの目の下すごいクマ！」


朝大学に行けば河了貂がAの顔を見て驚いた


「昨日送ったメッセ…返事来なかった…」
「は？」


昨日バイト先であったことを河了貂に話せば、河了貂はえぇー！？とまた驚いて声を上げた


「それで、夜が明けるまで待ってたってこと？」
「夜が明けるまで…は起きてなかったと…思う」
「どっちにせよ、アホだろ！」
「大人の男性に可愛いは失礼だったかなー、でもトップ画ほんと可愛かったんだもんなー！」
「オレからしたらいい歳のオッサンが、あんなトップ画だったら引くけどな…しかし、たった1日でなんか凄いことなってたんだな…」
「そうなんだよね…私もなんか着いてけない…」


その時ピコピコと着信音が鳴り
Aはアプリを開くと笑顔を見せた


「返信きた！」
「なにその反応、まるで恋する乙女じゃん」
「そ！そんなことないし！」


はいはいと河了貂は軽く受け流して
授業の準備を始めてしまったので、Aはとりあえず携帯をしまい、同じように授業の準備に取り掛かった









ー追記ー
オアシスとはアレンジなど作る際に花を挿す緑色の吸水性スポンジみたいなやつの事です。

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