【キングダム】これ、落としてましたよ

学校祭 ページ19

いよいよ学校祭がやってきた

Aも今日は朝からワクワクが止まらない
花屋のみんなも少数ずつだが順番に来る手筈になっており、俄然やる気が溢れていた

一方騰も、今日は昼頃に退社する旨を王騎に話しており
王騎も事情を聞けばあっさりそれを許可した


午前中は怒涛の団体さん対応で、Aはふらふらになりつつも交代で休憩を取りながらどうにかやりきった

そんな時、廊下が騒がしくなった

きゃーきゃーと女子たちが騒ぐ声がだんだんと喫茶店を開くこの教室の方へ近づいてくる

ガラっとドアを開けて入ってきたのは
仮面を外したバジオウだった


「バジオウさん！いらっしゃいませ！」
「…あぁ」


疲れ切ったように中に入ってくるバジオウ
それを追うように女子も入店しようとするが、Aは彼女たちの前に憚って立ちふさいだ


「申し訳ありません。ただ今ご入店されたお客様で満席となりました、時間を置いて再度お越し頂くか、お待ちいただけますか？」


Aの言ったことは嘘ではなく、教室内は人で溢れかえって居て
女子たちは仕方ないという風に廊下で待ちますと引き下がってくれた


「待つ…だと？」
「バジオウさんモテモテですね！」
「A、助かった。ずっと着いてこられてな。煩くてたまらない。待って居ないで有意義な過ごし方を模索してはどうだ」
「まぁまぁ、ささ、こちらですよ」


席に案内すると、バジオウはメニューを開き感心したような声を出す


「これ全てハーブや店で売っているような花を使っているのか？」
「はいそうですよ！自慢の一品です！」
「花を…これは、良いアイディアだな…端和様もあとで来ると言っていた…」
「店長が！わぁ！どんな反応を見せてくれるのか楽しみです！」


バジオウはメニューからハーブティとハーブパウンドケーキを頼むと、Aをマジマジと眺めた


「な、何ですか？」
「いや、似合っていると思っただけだ」
「恥ずかしいです！！」


赤面していうAを笑って見るバジオウ


「そういう格好は、今後俺の前だけにしてほしいがな」
「何言ってるんですか！？からかわないでください！」
「からかっていると思うのか？」


いつになく真剣なバジオウに
Aは目が離せなくなった

いくら鈍感だと言われる私でもわかる
あの頃店長に向けて居た眼差しと、今バジオウさんが私に向ける眼差しが同じなのも、ラベンダーの花言葉が貴方を待っていますって意味なのも
バジオウさんは、私を好いてくれてる事くらい…

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