【キングダム】これ、落としてましたよ

君と話がしたい ページ18

騰は花屋に立ち寄った後、いっそこのまま大学に出向こうと
Aの通う大学へ足を向けた

しかし、大学に行ってどう探したら良いのか、そもそもバイトだけ休んでいるのか、何かあって大学も休んでいるのか…
そう考えていれば
ふと視界にあるポスターを見つけた


咸陽祭


「学校祭か…そうか、だからか…」


ひとまず何かあったわけではないのだと思い、騰は安心するが
この状況が変わるわけでもなく、とりあえず騰は数日後にある学校祭に行ってみようと思った


必ず、誤解を解いてみせる
騰はやる気に満ちていた





あれから、騰から何度も誘いを受けている
しかし、Aはもしかしたら所帯持ちかもしれない騰とこれ以上深く関わってはいけないと、頑なに断り続けている
本当はメッセージすらやり取りしないほうがいいのはわかっている、しかし
こうして誘いのメッセージ以外を普通に返しているあたり、心の何処かでまだ騰に惹かれるものがあるからだと、自分でも理解していた

先日、バジオウと共にラベンダー畑に行って、過ごした時間は思っていた以上に楽しかったし、バジオウの優しさに触れて、少なからずAもバジオウを意識するようにはなったが、騰と過ごしたあの時間を超えるときめきは無かった
強いて言うなら、仲のいい親戚のお兄さんと一緒に出かけた
そんな感じに思う

何度も誘ってくる騰に、Aも話を聞くくらいしたら良いんじゃないかとは思うが
本当にあの人が奥さんだとしたら、そしてそれをちゃんと告げられでもしたら
自分はきっと立ち直れない
そう思うのだ…最早これは恋心だと自分でも気付いている

「はぁ…」
「あれ？A先輩、どうしたんですか？」


1学年下の向が話しかけてくる


「ううん、なんでもないよ、ごめんね。あ、それハーブティでしょ？どう？成分とか出してみた？」
「はい、安らぎを感じる時の成分と似たものがあります」
「じゃあ、それは安らぎティーの方に入れてみて、味とかを調整しようか」


Aの研究室では喫茶店をする事になり
オリジナルハーブティや簡単なケーキを出す事になっている
当日はみんな、ふりふりのメイド服なんか着てみて、給仕をするというような


「あらかた準備は出来たけど、あとは店内の雰囲気をもう少し良くしないとね」
「ここまでくれば、あと少しですね！」


頑張りましょう！と研究室全体が湧いていた
Aは、今は騰の事を忘れようと
意気込みを新たに作業へと取り掛かった

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