【キングダム】これ、落としてましたよ

どちら様？ ページ13

「それで？この間のディナーは上手くいったんですか？」


とある一等地に構えられた大きな邸宅
その一室の椅子に腰掛けて、邸宅の主人、王騎は
目の前の椅子に腰掛ける騰に聞いた


「食事中は上手く話も盛り上がり、彼女も楽しそうにしてくれてはいたんですが…」
「何かあったのですか？」
「あの花屋の副店長なる男が邪魔をしてきまして」


そう言って騰は手にしたグラスを傾ける

王騎はあの時騰に牽制を入れてきた仮面の男を思い出す
その時、王騎の横に座っていた美しい女性…
王騎の妻、摎は面白そうだ！という顔で乗り出して会話に入ってきた


「ねぇ、それって、山界フラワーの副店長？ファントムって呼ばれてるみたいね！」
「摎、貴女の情報は一体どこから来るんですか？」
「王騎様…主婦たちの噂ほど信用できるものは無いんですよ？仮面の下はイケメンだとか…」
「もしや。貴女もそのファントムとやらに気があるんですか？」
「摎は王騎様一筋です！」


そんないつものラブラブっぷりに、騰はため息を吐く


「でも、貴方が一目惚れ？する女性って、私すごく気になるわ！」
「摎、余計な事はしないでくれないか」
「あら！余計な事って何？私はただ気になるって言っただけじゃない」
「お前が何かに興味を持つとロクなことがない…」
「コココココ、強ち否定はできませんねぇ」
「酷いわね！いいわ、こうなったら何が何でも貴方とその子をくっつけてあげるんだから！」
「頼むから何もしないでくれ！」


そんな叫びも虚しく、次の日に
摎は山界フラワーに偵察に出ていた


「いらっしゃいませ！」


ちょうど店番をしていたAが摎の前に出て挨拶をすると、摎は多分この子だろうと目星をつけた

可愛らしい外見は、確かに一目惚れされてもおかしくはないだろうと思う
摎はそんなAを見て、両手を掴む


「貴女なのね！？」
「え！？何がですか！？」
「貴女が騰の言っていたお嬢さんなのね」


何が何だか分からなかったAは、騰という名前が出てからピクリと反応を見せた


「騰…さん？」
「そうよ？可愛らしいお嬢さんがいると話していたもの」
「あの、騰さんとは…一体…」
「摎！！」


一体どういう関係かと聞こうとした時
聞いた声がして、そちらに振り向けばいつもの表情で詰め寄る騰がそこにいた


「頼むから余計な事をしないでくれないか！？」
「何もしてないじゃない！」
「とにかく帰るぞ！Aさん…騒がせて悪かった…では、また…」

誤解→←ファントムの焦り

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