青い炎 ページ38
・
「…ニラギ」
「…A、お前もつくづく動き回るなァ…」
ニラギとその取り巻きが腕を組みながら私を囲む。
チシヤは「不味いことになったねぇ」と呑気そうだ。
「…おい、この女連れてけ」
顎をしゃくって取り巻きに命令をする。
武闘派の男がジワジワにじりよってきて、思わず後ずさった。
「何…する気なの」
「何ってそりゃあ…裏切り者は死んでもらうんだよ」
裏切ってなんかない。
無法地帯だな武闘派は、と頭の中の冷静な部分が言う。
私の表情を見たニラギがハッと笑った。
「都合が悪いやつも処理すんのが、俺らの役目なの。」
あの時、好奇心に負けてブルーシートをめくった自分を殴り飛ばしたい。
せっかくあのゲームで生き残ったのに、ここで死ぬなんて間抜けが過ぎる。
プールサイドで見せたような品定めするような顔で私の体を見下ろした。
つつ、と脚をなぞられて、擽ったさと不快さに唇を噛む。
「アー…いい顔するじゃねぇか。…予定変更だ。死ぬ前に俺とイイコトしようぜ」
ヒヒ、と下品な笑い声を立てて、ニラギが私の顎を掴む。
ニラギが被さって見えないが、チシヤも助けてはくれないだろう。
ここで彼らに逆らうメリットが思いつかない。
襲われる。
その四文字が頭を駆け巡り、体からぐったりと力が抜けた。
「アハ、お前もやる気じゃん。…行くぞ、立て」
こんな奴に好き勝手されて死ぬくらいなら、いっそニラギの舌を噛み切って死んでやる。
変な方向にテンションがハイになりながら手を引っ張られる。
何があったとしてもタダでは済まないだろう。
チラリと脳裏に浮かんだボーシヤも今はゲームで出払っている。
「何やってんだよ、さっさとこっち来い!!」
連れていかれる間際に見たチシヤの瞳は、どこまでも冷たくて、青い炎のようだった。
239人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みりん(プロフ) - はーとさん» わぁ嬉しいです( ¤̴̶̷̤́ ‧̫̮ ¤̴̶̷̤̀ )! 褒め方が上手すぎて更新意欲が止まりません!笑 今後ともよろしくお願いします! (2023年1月26日 2時) (レス) id: 54bed94868 (このIDを非表示/違反報告)
はーと(プロフ) - みりんさん» 本家のストーリーもありつつチシヤとのシーンがオリジナルで加えられていて最高です✨️✨無理はせずにこれからも更新お願いします🙇♂️これからも読ませていただきます^^ (2023年1月25日 17時) (レス) id: f292a3492c (このIDを非表示/違反報告)
みりん(プロフ) - そらのさん» 嬉しいです…!止まらなくて、気づいたらもう移行なのですが最後まで付き合ってくださるとありがたいです՞・֊・՞! 更新が捗ります🫶🏻 (2023年1月25日 4時) (レス) id: 54bed94868 (このIDを非表示/違反報告)
そらの(プロフ) - 主様の小説本当好きです!チシヤの小説少ないのでこの作品が楽しみで仕方ないです!更新楽しみにしております! (2023年1月25日 4時) (レス) @page47 id: 17ad6f88d5 (このIDを非表示/違反報告)
みりん(プロフ) - はーとさん» 嬉しいコメントありがとうございますꈍ .̮ ꈍ こういうコメントのおかげで更新する気力が湧いてきます!今日も頑張りますね💪🏻( ¤̴̶̷̤́ ‧̫̮ ¤̴̶̷̤̀ ) (2023年1月25日 3時) (レス) id: 54bed94868 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:みりん | 作成日時:2023年1月18日 5時