Don't leave me alone

ただのバカか、お人好し ページ21

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凛と響く声。

絶望的な状況に現れたのは、正にボーシヤだった。



「ボーシヤとアグニ達が決裂してるの？」
「…そうだね」


随分と間延びするような声。

この男はいつだって悠々と斜に構えた態度だ。



「てっきりアリスくんとウサギちゃんは、もう1人の新人と和やかにしてると思ったんだけどね」



ピクリ、とチシヤの眉が動く。余計なことを、と呟いたのが聞こえた。

アグニが「新入り？」と小さく呟き、「あぁ、Aが来なかったか」とボーシヤが聞く。


「丁度いいな、ソイツも味見してぇ。この前見た時から服従させてぇって思ってたんだ。今回の新入りは豊作だなァ」


ボーシヤの振る舞いなんかまるで無視してニラギが両手を上にあげる。

サングラスの下から眼光鋭く、咎めるように「ニラギ」と言うと、「俺のボスは大将だけだ」と笑った。


「タッタくんにここに来るように伝えたのだけれど…。上手く伝達が行かなかったのかな」


「タッタくん」の言葉に、思わずボーシヤの元へ行こうとすると、ポーカーの袖を握りしめていた手を取られた。



「別に行かなくていい。」
「でも、タッタくんが悪いってなっちゃう」
「良いでしょ、この状況で出ていくのはただのバカかお人好しだ」
「…チシヤ、ありがとう。ごめんね」



おい、と小さく咎める声も無視して、中央に進んでいく。
こんな状況で出ていくのはバカかお人好し。

確かにそうかもしれない。
歩みを進めた私を怪訝な目で見るようにして、先程とはまるで正反対のように人が次々と避けていく。



「…あぁ、A。来ていたのか」
「話しかけづらくて」
「人見知りかァ？」



ニラギが武器を片手に舐めるようにこちらを見る。



「どちらかを味見させろよ。もう腹が減ってんだよこっちは」



ハハ、と下品な笑い声を出した後、アグニに一任する様にニラギが一歩引いた。

何も言うことを聞かないアグニ一派に呆れたようにため息をついたボーシヤ。

庇うように立ったアリスと、その後ろで心配そうに見つめるウサギさん。
後ろではアリスの袖を引っ張るようにして事の成り行きを見守っている、健康的なコーンロウの女性がいた。


こちらをとんでもない圧で見下ろすアグニを睨みつける。

すると、少しだけ驚いたような顔をしたアグニが「こっちにする」とまるで物のように私を指さし、ニラギに顎で合図をした。

味方なんか、→←武闘派

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