報われる ページ16
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「今日はもう自室に帰ってゆっくりした方がいいわ」
渡り廊下を歩きながら、サングラスを掛けた女の人が歩き続ける。
名前はアンと言うらしい。
「…アンさんは、ボーシヤさんの言うことを信じているんですか」
「アンでいいわ。あと、敬語はいらない。…信じるしかないでしょ。こんな希望のない世界で唯一光があれば、縋りたくなるものよ。」
果たしてそうなのだろうか。
「…でも、希望があれば怖くない？」
少しだけスピードを緩めたアンが私を見る。
「希望があれば、失望や絶望もある。希望が大きければ大きいほど、ダメだった時のやりきれなさは、それこそもう立ち直れない程大きいでしょ…？」
「…」
ボーシヤの言葉を信じているアンには無粋だったかもしれない。
「…貴方は、裏切られて生きてきたの？」
「…え、」
「まるで絶望があるのが前提みたいな言い方。時には報われることだってあるでしょ」
報われる。
…私には縁のない単語のように思えて、思わず笑いが出た。
「何よ。……貴方、笑ってる方が可愛いわよ。」
「まさか。やめてよ」
「まぁ、自己肯定感の低さは考えものね」
アンも微笑んで、カツカツと歩き続ける。
ふと下を見ると、ガラスの向こうで音楽に乗る人々が見えた。
「…あの人たちも、現実逃避してるの？」
「本能でわかってるんでしょ。いつ死ぬか分からないから今を楽しむ。ボーシヤのモットーよ」
「そっか」
キラキラと笑顔で楽しむ皆が、どこか遠い存在に見えて思わず目を細めた。
「…皆、生きて会いたい人が居るんだろうね」
「…そうね」
なんだか、同調するアンの声も少し寂しそうで。
くるりと振り返った私は「ごめんね、部屋に案内してくれる？」と言った。
「…ええ。そう言えばあなた、チシヤとは仲良いの？」
「チシヤ？…助けてはくれた、けど。多分打算的だと思う。」
「本質を見抜く力があるのね。…でもチシヤが人を招くのはこれが初めてよ」
「…そう、なんだ」
まぁ、チシヤが来てからあまり時間は経ってないけどね。とアンが肩を竦めた。
目的の部屋にたどり着いて、アンがドアを開ける。
「…くれぐれも気をつけて。ビザ切れと、武闘派には」
武闘派。
ニラギが真っ先に頭に浮かんできて、思わず苦い顔になる。
うん、ありがとう。
そう言うと、おやすみなさい、と微笑んでアンがドアを閉めた。
久しぶりに1人になるからか、ほんの少しだけ寂しかった。
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みりん(プロフ) - はーとさん» わぁ嬉しいです( ¤̴̶̷̤́ ‧̫̮ ¤̴̶̷̤̀ )！ 褒め方が上手すぎて更新意欲が止まりません！笑 今後ともよろしくお願いします！ (2023年1月26日 2時) (
レス) id: 54bed94868 (このIDを非表示/違反報告)
はーと(プロフ) - みりんさん» 本家のストーリーもありつつチシヤとのシーンがオリジナルで加えられていて最高です✨️✨無理はせずにこれからも更新お願いします🙇♂️これからも読ませていただきます^^ (2023年1月25日 17時) (レス) id: f292a3492c (このIDを非表示/違反報告)
みりん(プロフ) - そらのさん» 嬉しいです…！止まらなくて、気づいたらもう移行なのですが最後まで付き合ってくださるとありがたいです՞･֊･՞！ 更新が捗ります🫶🏻 (2023年1月25日 4時) (レス) id: 54bed94868 (このIDを非表示/違反報告)
そらの(プロフ) - 主様の小説本当好きです！チシヤの小説少ないのでこの作品が楽しみで仕方ないです！更新楽しみにしております！ (2023年1月25日 4時) (レス) @page47 id: 17ad6f88d5 (このIDを非表示/違反報告)
みりん(プロフ) - はーとさん» 嬉しいコメントありがとうございますꈍ .̮ ꈍ こういうコメントのおかげで更新する気力が湧いてきます！今日も頑張りますね💪🏻( ¤̴̶̷̤́ ‧̫̮ ¤̴̶̷̤̀ ) (2023年1月25日 3時) (レス) id: 54bed94868 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みりん | 作成日時：2023年1月18日 5時
