ありがとう【Gero】

story10 ページ12

病状はいまだに安定しないまま、宣告されていた寿命も一か月は既に過ぎた。
いつもの治療を続けながら、ふと窓を眺めると雪が降っていた。

宣告されていた寿命を過ぎてはいるが
症状は悪くなる一方だった。

立って歩くことが困難になってきた。
ほとんど一日中寝たきりの状態の日々が続いた。
それでも変わらないのは彼がずっと傍に居てくれるということ。

私のせいでしたいことも我慢して…
そう思うと彼に申し訳なくて「私は早く死んでしまった方がいいのでは…」
と迂闊にも思ってしまった。

G「A〜！どうや〜？調子は？」
貴「…いいよ」
G「そっか、良かったw」
貴「…いつもありがとう」
G「大丈夫やって！気にすんなって」
貴「…ねぇ…Geroりんの…歌聴きたい」
G「歌？…歌かぁ。今日は無理やけどもうちょっと待ってくれ！Aのために一曲創ったるから」
貴「…ありがとう」



Gero side
俺はAと約束を果たすために曲創りに励んでいた。
ありのままを書こう。そう決めて創った最初で最後の一曲。

「ありがとう」


あなたと 繋いでた
思い出だけ 振り返り
滲んだ笑顔
隠せずに

揺らいで また、気付いてさ
繰り返しては 足を止めて
あなたと歩いた道を
明日も迷わぬよう

「さよなら。また、会いましょう」
いつも いつも 想っていた
落ちてく夕日が 遠く 遠く
影を落としていく
「ねぇ ありがとう」も
言えないまま

あなたと 追いかけてた
あの夏空 変わらずに
零した 想い
抱きしめて


離れて また、気付いてさ
繰り返しては 足を止めて
あなたと繋いだ温度を
今でも忘れぬよう

「さよなら。また、どこかで」
ずっと ずっと 覚えてるよ
あなたの笑顔が 今も 今も
僕を支えるから
「また、会えるよね」も
聞けないまま

揺らいで また、気付いてさ
繰り返しては 足を止めて
あなたと歩いた道を
明日も迷わぬよう

「さよなら。また、会いましょう」
ずっと ずっと 忘れないよ
重ねた想いを 今日も 今日も
歌い続けるから
でも「ありがとう」は
言えないまま

story11→←story9

• 金　運: ★☆☆☆☆
• 恋愛運: ★★★☆☆
• 健康運: ★★★★★
• 全体運: ★★★☆☆

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す