疑う ページ10
「たぁんじろぉー!置いてくなよぉ〜!」
「オイコラ!親分を置いていくんじゃねぇ!」
は、と意識を戻す
後ろから走ってくるのは善逸と伊之助だ
キメツ学園は中高一貫校であり、この2人は中学からの知り合いだ
性格も考え方も違うのに、なぜか息が合うし、一緒にいる時間が最も長い
…まぁ些細な喧嘩は絶えないが
「…炭治郎?どうしたの、ぼぅっとして」
「いや、さっき会った女の子が…」
「女の子ぉぉぉ!?
お前ぇぇぇ!また!そうやって!知らない内に女の子とイチャイチャしてんじゃねぇよぉぉぉ!」
きぃやぁぁぁぁ!とよくわからない奇声を上げ、地面をのたうちまわっている善逸を伊之助が白い目で見ている
…俺も然りだ
「…で?その女がなんなんだよ」
「いや、泣きそうな顔をしててだな…。それに、どこかで会ったことがあるような気がして…」
久しぶりに味わった、この感覚
善逸や伊之助と初めて会ったときもそうだった
会ったことがなくても、何か、知っている
けれど、思い出そうともがいても、それはどんどん沈んでいくのだ
深い、青い、海の奥底に、どんどんと潜っていく感覚がして、怖くなって、息継ぎのために諦める
それを何度も何度も繰り返しているような感覚だ
「…あの子なら、何か、知っているのかもしれない」
「…ふぇ?」
「いや、なんでもない。それよりそろそろ学校に行こう。あんまり遅くなると冨岡先生に怒られてしまうぞ」
「それだけは勘弁してくれぇぇ!」
俺はピアスを、善逸は金髪を、伊之助は服装を、いつも注意されている
善逸に関しては地毛であるのに、冨岡先生は善逸に対してやたら厳しいのだ
(かなり理不尽である)
だから、学園内で俺たちのうちの誰かと冨岡先生との追いかけっこは、もはや皆見慣れたものになりつつあった
「急ごう!」
「ま、待ってくれよぉ!」
「俺が1番だあ!」
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作者名:バボちゃん | 作成日時:2019年12月7日 11時