括る ページ16
「…師匠、私…」
「大丈夫、大丈夫だよ、蓮香ちゃん」
帰ってきた妹弟子の様子がどうにもおかしい
蓮香は前世の記憶があるからか、俺よりも幾分か年下にも関わらずどこか落ち着いた雰囲気があった
そんな彼女が戸惑い、怯え、震えている
「師匠、蓮香の件、なんだったのでしょうか?」
「…そうだな、葵なら大丈夫かな」
蓮香を隣に置きながら師匠は柱合会議の内容を教えてくれた
鬼が蓮香を探していること、鬼の頭が蓮香を求めていること
そして、これからの任務は柱と共同で行うこと
「…どうやら柱の面々は蓮香と鬼との間に何かしらの繋がりがあるのでは、と疑っていたみたいだね」
「そんな!蓮香はそんな子じゃありません!」
「わかってるよ、葵。でも随分と御館様も警戒してたみたいだね。俺に柱合会議の内容を知らせなかったということは」
鬼と蓮香が繋がっていた場合、そして、蓮香と師匠が繋がっていた場合
柱合会議の内容を伝えることで2人の脱走が予想されるからか…
「…っそんなの!師匠を馬鹿にしてる!許されない行為です!」
「葵、やめなさい。御館様のことを侮辱するんじゃない」
「ですがっ!」
「仕方ないんだ…ただただ鬼が弱体化していて、ただただ鬼を斬るだけだったのに、突然親玉が現れたんだ。厳重に警戒すべきなんだよ」
ただ…と師匠は横に視線をやる
「…かなり蓮香ちゃんにはダメージが大きい」
鬼の頭に狙われているという不安感、なぜ自分がという疑問、困惑
ぐったりと疲れている妹弟子がかわいそうでしかない
「蓮香ちゃんの任務の数はこれから減らされるだろうが、蓮香ちゃんを実家に置いておくのは不安すぎる。体への負担が大きいだろうが、蓮香ちゃんにはここに毎夜来てもらうことにするよ」
いいね、と問えばコクンと頷く蓮香
「葵、蓮香ちゃんのことをお前に話したのは信頼があるからだ。この意味が、わかるね」
「もちろんです、師匠」
俺は、お前ほどできた奴じゃないかもしれないけど、鳴柱の継子として、妹弟子ぐらい守ってみせるからな
「…蓮香」
「はい、葵さん」
「安心しろ、俺は、俺たちは、ちゃんと味方だからな」
小さく首を縦に振った彼女の瞳から溢れた涙は、師匠が優しく拭っていた
36人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:バボちゃん | 作成日時:2019年12月7日 11時