消えたがり 【3年A組】

・ ページ11

警察が来てるの…？




「先生、あの、その…」

柊「A、そろそろ8時だ

教室に行こうか」



やっぱりいつもの先生じゃないみたい

いつもは私が話したいことがまとまるまで待ってくれるのに…


「すみません…」

柊「…なんで謝るんだ？」



なんで？そんなの…



「今までずっと…迷惑…しか、かけて…こなかったから…」


柊「…どういうことだ」


「今の先生が…本当の先生なんですよね…？

だったら…私に話しかけてくれてたのも…全部お芝居ですよね…？

すみません…気を使うようなことを…させて…」



とんだ私の勘違い

別に私はそれでもいい

話してくれたことは事実なんだから

先生が本心じゃなくても、一緒に話してくれた事実は消えないから



柊「待て、俺はお前と話したときも、本当の俺だった…！

芝居とかじゃ…」


「…別に…なんでもいいんです

どうせ…あと10日ですから…」




軽く頭を下げて、教室に戻る


コソコソ噂はされてるけど、もういいや





少しして、先生が入ってきて、茅野さんに答えを促した





茅「景山 澪奈は、今年の全国大会でドーピングがばれて自 殺した」






景山さんはドーピングなんてしてない

でも、SNSでそういう噂が流れてしまい、世間はそれを信じた



柊「それが答えか？

…お前はそれでいいんだな？」


甲「しつけぇな！いいに決まって__________」


柊「茅野に聞いてんだ！」


甲斐くんの大声にも負けないほどの大声で先生が叫ぶ




柊「･･･お前が景山の何を見てきて、何を見てなかったか。
･･･よく考えろ」






茅「今更何を言っても澪奈は帰ってきません」



柊「確かに、景山を失った過去は変わらない

でも、これからのお前を変えることはできる

･･･自分自身で考えて、答えを出すんだ」




自分自身で考えて…

そんなこと、しばらくしてないかもしれない




宇「あのさぁ、なんか2人の世界に入ってるけど、もう答えは出てるから

澪奈は水泳界のプレッシャーにおされてドーピングに__________」




茅「違う！」




宇佐美さんの声を遮るように、茅野さんが叫んだ




茅「･･･澪奈が自 殺したのは、そんな理由じゃない…！」

・→←・

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す