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3月3日 ページ41

自分のくしゃみで目がさめる


「廊下は…寒い…」


当たり前だけど、毛布はないから、自分のブレザーを脱いで自分にかけている

私は瓦礫にもたれかかるようにして眠っていたみたいで

「背中…痛い」

猛烈に背中が痛かった




自分の腕時計を見るとまだ3時で


でも一度起きると二度寝なんてできないタイプだから、起きておくしかない




ゆっくりと立ち上がり、チラリと教室を覗く

まだみんなは夢の中でスヤスヤと寝息をたてていた






「いってらっしゃい」
「夕方には帰るから」
「いい子にしておくのよ?」
「うん!気をつけてね!」






当たり前の日常
当たり前の毎日



そんなもの、いつ消えてもおかしくない



「はーい…って誰ですか?」
「警察の者です、A Aさんですね?」
「そ、そうですが…」
「残念ですが、ご両親は事故にあわれ…」







消えないで、いかないで、1人にしないで





そんな言葉を伝える間もなく、お父さんとお母さんは逝ってしまった






「…誰よりも…残された方が…苦しいのに」





みんなの寝顔を見ていたら、急にみんながいなくなるような気がして、怖くなった




静かに教室を離れ、美術室へ向かう




「先生…ってここで寝てるの…かな」





ポツリと呟いて中を覗こうとしたとき



「そうだよ?A」





扉が開いて、先生が出てきた





柊「随分と早起きだなぁ」

「す、すみません…」

柊「…眠れないか?」

「は、はい…」

柊「じゃ、ここで絵描いておけ」





びっくりして先生の顔を見る


そこには優しいいつもの先生がいて


柊「お、今日は目があったな」


なんて言われて、頭を撫でられた







私は美術室に入り、鉛筆を持ってキャンパスに向かう




柊「なんの絵を描くんだ?」

「…3年A組のみんな…です」

柊「…どうして?」

「…この10日間で…消えそうで…怖いから…」



美術室には私専用のロッカーがある

それは鍵付きで、私が本当になくしたくないものを入れる場所だった

前の美術部の顧問の先生が作ってくださったものだ



私はそこから4月に撮ったクラス写真を取り出した




柊「そこに…置いてたのか?」

「…はい

どんなクラスでも…“ いつかは ” って…期待してたから…

それに…みんなが悪いわけじゃないので…」




黙って鉛筆で線を描く


そこにいるみんなは笑ってて、楽しそうだった

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sei(プロフ) - 楽しんで読ませてもらってます!私にもその文才欲しいくらいです。・゜゜(ノД`) (2019年3月21日 17時) (レス) id: cd07a6348c (このIDを非表示/違反報告)
バボちゃん(プロフ) - 諸行無常系女子さん» ありがとうございます!頑張りますね( ̄^ ̄)ゞ (2019年3月18日 18時) (レス) id: f818c9f9b9 (このIDを非表示/違反報告)
諸行無常系女子 - 楽しく読ませてもらってます!これからも頑張ってください(*^o^*) (2019年3月18日 14時) (レス) id: 30d23c8fcb (このIDを非表示/違反報告)
バボちゃん(プロフ) - ラビットさん» ありがとうございます!ラビットさんのお言葉、とっても励みになります! (2019年3月17日 23時) (レス) id: f818c9f9b9 (このIDを非表示/違反報告)
ラビット(プロフ) - ものすごく面白くて続きが気になります!更新頑張ってください! (2019年3月17日 19時) (レス) id: 80ad6ef553 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:バボちゃん | 作成日時:2019年3月14日 20時

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